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医師の働き方改革|2024年以降もアルバイトはできるのか。勤務医が年収ダウンにならない方法を探る。


戻る 2024/02/14
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2021年5月に公布された「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」を改正し2024年4月1日から施行される、いわゆる医師の働き方改革。医師の長時間労働に支えられてきた医療現場では勤務環境の改善に向けた動きが活発になってきた。

長期的な長時間労働は労働力の低下を招く。特に20代〜30代の医師の長時間労働が常態化している医療機関では労働基準法で定められた週40時間を大幅に超過している。一般企業には既に施行されている法令だが、医療機関は抜本的な勤務環境の改善準備が必要なので5年間の猶予が設けられていたが、いよいよ時間切れが迫ってきた。

しかし、勤務医の立場としてはこの改革は心配な点もある。薄給の大学病院の勤務医にとって、外勤先の給与は貴重な収入源だからだ。時間外労働の上限規制が適用されると年収は下がるのだろうか。どんなことが予測されるのか、キーストーンコンサルティング(株)の廣谷氏に訊いた。

キーストーンコンサルティング(株)の廣谷氏

 

Profile
キーストーンコンサルティング株式会社
代表取締役
廣谷 信幸 (ひろや のぶゆき)

大学4年の際、ヨーロッパ15ヶ国を70日間かけて1人旅をする。貴重な出会いや出来事を体験。

現在、全世界の生命保険業職員トップ6%で構成されるMDRTに24回登録。

2009年、2011年、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、2023年COT。

日本が抱える少子化高齢化を原因とする、年金・医療・介護の問題をわかりやくすく説明。

そのような厳しい現状を踏まえ、自分の身は自分で守る、家族の身は自分で守るために、

どのような準備をしておく必要があるかをセミナー等を通じて紹介。ドクター向けに200回以上のセミナーを開催。800名以上のコンサルティング実績を持つ。

 

【経歴】

1965年9月

福岡県生まれ

 

1989年3月

明治大学政治経済学部経済学科卒業後、東芝ケミカル㈱新橋本社入社、国際営業部にてヨーロッパおよび東南アジアを担当。半導体関連部品の新規顧客開拓貿易実務外国為替業務に携わる。

 

1998年3月

ソニー生命保険㈱日本橋支社に転職、ファイナンシャルプランナー(AFP)資格を取得。

 

2005年10月

ソニー生命保険㈱から独立し、キーストーンコンサルティング㈱を設立。代表取締役に就任。同時に総合乗合保険代理店㈱ホロスプランニングに加盟。

 

2015年1月

キーストーンコンサルティング㈱が総合乗合保険代理店に登録。

 

医師の働き方改革における主な改正

今回の改革の目的の一つは、医師の労働時間の短縮と健康管理です。これまでブラックボックス化していた医師の労働時間を見える化して、上限を設けて規制します。そのほかにも連続勤務時間制限、勤務時間インターバルなどのルールが定められることになりました。

日本の医療は診療時間外や休日にも業務を行う、医師の献身的な長時間労働に支えられてきましたが、医師も他の職業と同様に心身の健康を維持しながらいきいきと働き、より良い医療の提供を目指せるようにしなければなりません。  

とは言え、労働時間を厳密に管理することで、これまで収入を少しでも増やすためにアルバイトなどで働いていた医師にも労務管理の制限がかかるようになります。

住宅ローンなどを組んでいる勤務医は大打撃を受ける可能性があると思われます。

科目によっても異なりますが、相当な収入減になるケースも試算しています。残業代込みの年収をもとに、住宅などのローンを組んでいる医師は対策を考えなければならないでしょう。しかも、今後は金利が上がる可能性も視野に入れておきたいですね。

医局に残る医師ももちろんいらっしゃると思いますが、今後は開業や異業種へのキャリアチェンジなど、将来設計を見直す医師も増加してくるのではないかと思います。

弊社では、勤務医の先生にご自分でライフプランを立てること、イレギュラーが起こればそこで修正していくことをお勧めしています。

特に家族がある医師は、お子さんの教育資金や老後資金について、試算し直すことが必要となるでしょう。2024年4月施行の改革は、医師がライフプランをもう一度考える良い機会になると考えています。

医師の働き方改革における主な改正について語る廣谷氏

医療の知識だけでは、医師は収入を増やせない。

今回の働き方改革に関しては、勤務医であっても労働基準法に関する基礎知識は知っておいていただきたいと思います。

医療に関する知識を身につけることで一杯になっている医師は多く、これは患者としては有難いことでありますが、これからはどのように働けばご自分の収入を上げていけるのかを考えなければなりません。そのために正しい情報を集めることから始めていただきたいです。

非常勤での勤務時間も残業にカウントされることになり、雇用主である病院は通算して把握しなければならなくなります。2024年の4月までに管理の仕組みを作らなければならないため、どの病院でも準備が進んでいます。

主たる勤務先での労働時間を確保するため、「宿日直許可」のない医療機関でのアルバイトを禁止する大学病院もすでに出て来ました。大学から医師が派遣されている民間病院は医師に来てもらえなくなる可能性があるため、宿日直許可を申請する病院が増えています。宿日直許可は、ほとんど労働する必要のない宿直・日直に対して許可されますので、「寝当直」としながら実際には患者さんがひっきりなしに来るのであれば宿日直勤務として認められないことになります。

今回の法改正によって労働時間が制限されるので、残業時間度外視でも働きたい医師は今までのようには収入を得ることが難しくなると考えられます。そのため、医師の独立や転職が増えると予測しています。

もっと言うと、医師免許をとっても医師として勤務しないという人が増えていくかもしれません。すでに医師免許を持ってビジネスの世界に進む動きはアメリカでは増えています。

「医師=高収入」という時代は終末を迎えているように見えます。

医師のあり方は大きく変わるだろうと予測する廣谷氏

「経営のプロ」が病院を動かす時代になる。

医師の転職や独立開業が増えることが予測されますが、開業したとしても別の難しい問題があります。労務などの経営の問題です。マネジメントは医療技術だけを磨いてきた医師にとって初めてぶつかる難問だと思います。

2025年が高齢者人口のピークで2035年の後は日本全体の患者数が先細る中で、開業ラッシュが起こると生き残りが難しくなるでしょう。都市部は飽和状態なので、郊外での開業なら可能性もあるかもしれません。

医師の健康管理を病院経営者に考えてもらうこと、医師の年収が下がっても健康でいてもらうこと、を国は目論んでいると思います。

2035年までは団塊世代が積極的に病院に通うと思われるので、厚労省としては医師が疲弊することは避けたいわけです。この法改正は、時代が変わる幕開けと言っても良いかもしれません。

国は医療費の削減のための施策をいろいろと考えていますが、その一つがベッド数の削減です。これがなかなか進んでいないのですが、病院のM&Aが盛んになってきているので、それらが済んである程度の規模になった病院からベッド数の削減を実現することを考えているのかもしれません。

これからの病院はプロが経営する時代になると考えています。法令遵守し、収益も守っていくプロの経営者が病院を動かしていく時代です。

インタビューを終えて

これからの医師の働き方は多極化するだろう、と廣谷氏は言う。実際、医師の活躍の場は多様化しつつある。保険から自由診療へ、また、臨床を離れて起業家や企業人になる可能性も。

2024年以降のご自分の仕事と年収を冷静な眼で予測していただきたい。ライフプランを見直すときには情報収集が何よりも重要になる。ご相談はこの問題に関する情報のプロにお任せください。
 

会社情報

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会社名 キーストーンコンサルティング株式会社
公式サイト https://www.keystone-c.net/

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