大手美容クリニックでの勤務を経て2020年に美容外科・美容皮膚科X CLINIC(エックスクリニック)を設立。クマ取りのエンペラーと呼ばれ、難易度の高い他院修正や複合施術を得意とする。現在では現場に立ちながら、X Medical Group理事長としてより良い美容医療業界を作るべく日本全国・海外を飛び回る。
一歩を踏み出した人にしか見えない世界がある、と孫医師は言う。
「本人×組織」で成長して成果を出すこと、「テイカーよりもギバー」になって組織やお客様の幸せに貢献すること、これらのフレーズは孫医師の周囲のスタッフからすでに何度も聞いていたが、実際に孫医師から直接説明されると抜群の説得力があった。
高いクオリティの美容医療を提供するX CLINICと気軽・手軽がコンセプトのカジュアルクリニック、この2つのクリニックを展開するX Medical Groupのリーダー孫医師が思い描く美容医療業界の未来とは。
ドクターコネクト
Q : 医師になられたきっかけを教えてください
孫理事長
A : 父が中国で医師をしており、泌尿器の腫瘍内科を専門とする研究者でした。彼の留学に伴い、私は幼い頃に日本へ来ました。子どもの頃は病弱だったこともあり、医師という職業に強い憧れを抱いていました。また、父が果たせなかった「日本で医師になる」という夢を、自分が実現したいという思いもありました。奨学金を受けながら国公立の学校で学び、最小限の費用で医学部を卒業できたのは、今思えば幸運だったと思います。
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Q : 美容医療の道に進まれた理由は?
孫理事長
A :まず、日本の保険診療の将来性に疑問を持つようになったことが一因です。例えば、偏った食生活などにより、生活習慣が乱れて病気になる方々にも、医療扶助により無料で治療を提供し続けなければならないなどの制度に、研修医時代から違和感を感じていました。このままでは日本の保険診療は持続できないと考えたのです。
加えて、自分の得意分野をもっと活かせるフィールドを探していたこともあります。研修医時代、手先が器用だということと、コミュニケーション力には自信があったので、外科的治療や内視鏡、何でもやるから呼んでくださいと色々な先生にお願いしていました。しかしいつしか、私の中で日本の保険診療で働く未来がイメージできなくなり、自由診療に目を向けるようになりました。自由診療であれば自分の実力次第で年収も比例してくるだろうし、自分のコミュニケーション能力も発揮できるかなと。結局、親の反対を押しきって形成外科にも行かずに直接、美容医療の道へ進むことにしました。
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Q : 美容クリニックで独立開業したきっかけを教えてください。
孫理事長
A : 日本の美容医療業界を変えたいという強い想いがありました。とはいえ、自分一人がプレーヤーとして頑張っても、一日せいぜい数件のオペしかできません。一日に数人のお客様は幸せにはできますが、それで何かを変えられるのかという、内なる疑問がわいていました。大手美容外科で3年間勤務し、ベストクリニック賞を受賞、年収も1億円を超えました。そこで一区切りだと感じ、新たなステージへ進む決意をしました。行動力が自分の強みですし、「なんとかなる」と思い切って開業を決断しました。
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Q : 美容クリニックを開業されるにあたり、どんな気持ちでしたか?
孫理事長
A : 日本の美容医療業界を変えていきたい。この気持ちに賛同してくれる人たちと一緒にやれば、日本の美容医療を変えられると確信しての独立開業でした。成功する自信はあるし、開業資金を借りても必ず返せると思いました。
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Q : 開業時に重視されたことは?
孫理事長
A :開業時に費用はかかりましたが、最も妥協せずにこだわったのは、医師を含むスタッフのクオリティです。美容クリニックは「今をより良くしたい」と願うお客様のための場です。その期待を裏切るような施術の失敗はあってはならず、高い技術とおもてなしの心を持つ人材の採用に全力を注ぎました。それは現在でも変わっていません。
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Q : 開業後、特に意識している点はありますか?
孫理事長
A : 情報格差をなくすため、クリニックの良い点だけでなく、課題や対応事例も含めて積極的に発信しています。今やAIで作られたビフォーアフター写真も多く見られますが、私たちはライブ動画や内部の様子を公開し、透明性のある運営を心がけています。
美容医療は100%の満足を保証できる分野ではありませんが、大切なのは不満を持たれたお客様にどう向き合うか。私たちはその姿勢もコンテンツとして発信しています。患者様が正しい情報を活用できるようになった時に美容医療は変わると思っています。正しい情報収集のためには、まず、クリニックのオーナーの考え方を理解して頂くことが大切だと思います。
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Q : X Medical Groupのビジョンを教えてください。
孫理事長
A : 私たちは、金額以上の価値を提供する「上質な医療サービス」を追求しています。X CLINICの価格帯は決して安価ではありませんが、一度来院いただければリピーターになっていただけると自負しています。お客様だけでなく、スタッフ自身も自分を愛せる世界をつくることが私たちのビジョンです。
ドクターコネクト
Q : 組織としてスタッフとどのように理念を共有されていますか?
孫理事長
A : 月1回の全社ミーティングを通じて、私の考えや方針を直接全員に伝えています。その月で良かった点や反省点なども、すべてを話す場にしています。また、マネジャー層から中間管理職、現場スタッフへと、理念が浸透する組織体制を整えています。
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Q : 採用する上で求める資質は?
孫理事長
A : 高いメンタリティとバイタリティを持ち、美のプロとしての意識がある方に来ていただきたいです。スピード感についてきて、学び続ける姿勢を持つこと。知識や技術が未経験でも、ポジティブに取り組める方を歓迎します。美のプロフェッショナルとして、どれだけお客様を幸せにできるかを常に考えて動ける人材であってほしいです。
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Q: 美容医療業界が抱える課題についてどうお考えですか?
孫理事長
A :当グループは、一人の顧客を獲得するためのコストは比較的低いと思います。クリニックによっては、新規顧客獲得のために広告に多くのお金をかけるところも少なくないでしょう。
多額の広告費を投じて来ていただいたお客様が施術に不満を持って、そのまま再訪していただけなくなると、この業界は「新規のパイを食い尽くしたら終わり」という構造になってしまいます。この状態が続けば、いずれ立ち行かなくなるのは明らかです。私たちは熱意と誠意をもって施術して金額以上の価値を出していますが、一部の美容外科医または美容クリニックが世間に悪いイメージを与えてしまうと、美容外科医は全員悪、美容クリニックは金儲けのことしか考えていないと言われてしまいます。美容医療業界全体を悪く言われてしまうことをなんとしても止めたいと思っています。
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Q : 美容クリニックが利益を追求することについては?
孫理事長
A : お金を稼ぐこと自体が悪いことではないと考えています。グローバル企業のトップはとてつもない報酬を得ていますが、その仕事で人々の暮らしを豊かにしています。お金を稼ぐ力で、何をするのかが問題だと思います。
人を不幸にして稼ぐのか、人を幸せにして稼ぐのか。人を幸せにした結果、その対価でお金を稼ぐのは悪くないと思うのです。稼ぐ能力があり欲がある人が、世界をより良いものにできると考えています。
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Q : 若手医師に求めることは?
孫理事長
A : 若手医師には、自由に活躍してほしいと思っています。やる気のある人を成長させてあげられる環境を作るのが私の仕事だと思っているので、クリニックのためになることや、お客様のためになることにはどんどん挑戦してほしいです。「楽して稼ぎたい」だけでは、美容医療業界では生き残れません。大手に転職するだけで満足せず、その後に自分をどうブランディングするかが重要です。技術習得と同時に、自分を発信し、選ばれる医師になる必要があります。
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Q : 美容外科の医師が活躍し続ける為に必要なことは何だと思いますか?
孫理事長
A : 大手美容クリニックの認知度でお客様を集めて施術をしているだけでは、美容外科医・美容皮膚科医はこの先を生き残れません。美容医療業界はレッドオーシャンなので、生き残るクリニックと淘汰されるクリニックは両極端です。
今後の美容医療業界を生き残るためには、有名な美容クリニックへ転職した「そのあと」が大事だと思います。技術習得は当然大事ですが、さらに大事なのは医師自身のブランディングです。いかに自分の良さや強みを発信していくか、いかにして自分を信用して選んでもらうかを考えなければなりません。
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Q : X Medical Groupの強みを教えてください。
孫理事長
A : 色々ありますが、腕のいい先輩医師が多数在籍していることと、セルフブランディングを徹底的にサポートしているところでしょうか。ブランディングには得意な技術を持っているという強みが必要ですが、当院にはトッププレーヤーが揃っています。野球の大谷、サッカーのメッシ、ゴルフのタイガーウッズに例えられるような、美容医療の各分野のスペシャリストが在籍しています。美容医療のすべての項目を、トッププレーヤーである医師から学ぶことができるのです。そこから自分の得意な分野を見出すことができれば、あとは技術習得、マーケティング、ブランディングをサポートする環境が整えられています。
新たに入職される方には、やりたいことはどんどん学んでほしいと思います。ただし、学ぶ順番は明確にあるのでいきなり難しいオペに挑戦するのではなく、基礎をしっかり学んでいただきます。それから各医師に合わせてトレーニングプログラムを組ませていただきます。パーソナルトレーニングで技術を身につけた後はマーケティングとブランディングを学ぶことで大きく飛躍できると思います。
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Q : SNS運用はどのようにされていますか?
孫理事長
A : 当院では、SNSの専門チームのノウハウを使って医師のサポートを行っています。美容医療は、自由診療であり、医師から働きかけないとお客様は来てくださらないです。セルフブランディングの経験がなくても当院で積極的にSNS運用を行うようになって、結果的に成功している医師がたくさんいます。ゼロからのスタートで、今やフォロワーが1.8万人という医師もいます。専門チームもありますが、何よりも医師個人のやる気がなければ成功することはありません。「本人×組織」の掛け算で大きな成果が期待できるのです。
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Q : 今後の美容医療業界の展望をどう見ていますか?
孫理事長
A : これからの美容医療業界は市場のニーズに応えてプチ美容がもっと増える一方、高度な専門性を持つクリニックの存在も確かなものになっていくと予測しています。例えば、脂肪吸引やクマ、フィラーなどの専門クリニックです。「特徴がない」「なんでも屋」のようなクリニックは淘汰されていくのではないでしょうか。
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Q : そのお考えから、新たにカジュアルクリニックを設立されたのですか?
孫理事長
A : はい。X Medical Groupの新しいクリニックである『カジュアルクリニック』は、このようなプチ美容の需要に応えて伸びていくと確信しています。お客様にとって手軽で気軽に通えるクリニックであり、開院のイニシャルコストが抑えられるので、早期に100院を目指しています。最終的には200院まで展開しようと考えています。
ボトックスやヒアルロン酸の注入はメンテナンス美容ですので、近くて気軽に行けるクリニックがお客様のニーズに合っていると思います。カジュアルクリニックはフランチャイズのお声もたくさんいただいていており、地方展開は成功すると確信しています。
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Q : 今後、美容医療業界で生き残っていくには何が大切ですか?
孫理事長
A : クリニックが生き残るためには、価格競争を避け、インバウンド対策に注力することが不可欠ではないでしょうか。価格競争以外に推すべきところがないクリニック、例えば有名ドクターがいないクリニック、機械も他のクリニックと同じようなクリニック、ホームページに工夫や特徴がない、魅力的でないクリニックは、近い将来に終焉が待っているでしょう。とにかく、価格競争という土俵に立ったら終わりだと考えています。価格競争に加わらない、そしてもうひとつはインバウンド対策、これがサバイバル戦略ではないでしょうか。
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Q : X CLINICが求める人材とはどのような医師でしょうか?
孫理事長
A : 美容クリニックで働く医師にとって、どのクリニックで働いたことがあるかは重要な要素の一つだと思います。『X CLINICで働いたことがある』という経歴が高く評価されるようになることを目指しています。ですので、圧倒的な経験、強い情熱、惚れるような人間性が、X CLINICに欲しい人材です。そのような方たちと高く評価されるクリニックを作り上げたいと思っています。また、誰でも彼でも採用することはお客様に失礼だと思っています。お客様の為にもより良い医師を採用したいです。
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Q : カジュアルクリニックが求める医師像は?
孫理事長
A : カジュアルクリニックでは、美容医療に転科したい医師や大手美容クリニックから転職を考えている医師、子育て中の医師、40代50代になってプライベートを大事にしたいと考えるようになった医師でプチ美容にやる気を持って臨んでいただける方々を募集しています。カジュアルクリニックの受け入れ間口は広く、施術する医師側にとっても施術を受けるお客様にとっても「カジュアル」です。美容医療に一歩踏み出したい、基礎的な美容皮膚科技術を学びたい、今の現状に満足できないという方はカジュアルクリニックを選んでほしいと思います。「一歩を踏み出した人」にしか見えない景色をカジュアルクリニックで見ることができると思います。
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Q : X Medical Groupの今後の展望を教えて下さい
孫理事長
A : 将来的には、ホームケア商品、審美歯科から、将来的にはジムやスパ、ネイル、ヘアメイク、そして婦人科検診など、美容と健康に関わる総合的なサービスを提供したいと考えています。また、ハイエンドのクリニックを作りたいとも考えており、身近な治療からハイエンド、その他の美容と健康をX CLINICですべて完結できる「エックスビューティービル」のような施設の設立も考えています。メディカルツアーが一か所で組めるだけの施設を作りたいので、それができるだけの力を蓄えて実現したいと思います。
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Q : 転職を検討している医師へメッセージをお願いします
孫理事長
A : 転職を考えている医師には、目先の甘い誘惑に負けず、どこなら成長できるかを冷静に見極めてほしいと思います。知識や手技を学べることは当然ですが、セルフブランディングをサポートしてくれるか、そしてもう一つは数字を学べるかということも大事にしてほしいです。
手技、セルフブランディング、そして売上・経費・利益といった数字の見方、私はこれらが大事な三本柱だと思っています。将来独立する可能性も考えると、数字についてはよく知っておく必要があります。
どのボスについていくかも大事です。10代はとにかく一所懸命に勉強すること、20代は失敗をおそれずにチャレンジすること、30代ではいいボスを見つけることで人生が決まります。その後、40代は得意分野を伸ばす時間、50代は後輩に自分の経験と得意分野を伝える時間、60代以降は家族との時間を大事にすることになるでしょう。
また、「高年収」への考え方ですが、給料は会社への貢献度によって支払われる対価です。医師の皆さんの毎月の売り上げから割り出されるもの、つまり、どれだけの売り上げを出してどれだけの利益をクリニックにもたらすかやその他の貢献度が基準になります。
会社にどのように、どれだけ貢献できるかを考えていただきたい。クリニックやお客様に対して何ができるのか。まずはFOR MEではなくて、FOR YOUを考えられる人であってほしいと思います。
X CLINIC(エックスクリニック)・カジュアルクリニックでは、「テイク」ばかりではなく、率先して「ギブ」が実行できる人を採用したいと思っています。人生は一度かぎりです。やる気に溢れ、素直でポジティブな方には最高の環境をお約束します。