2014年設立のゴリラクリニックは、男性美容の先駆けとして美容医療業界で急成長。
男性専門の美容皮膚科クリニックとして医療脱毛やスキンケア、AGA治療をメインに、ネーミング、ブランディング、プロモーション、あらゆる領域で業界の既成概念を覆し続けてきた。
まずインタビュー前にご紹介するのは、GORILLA PHILOSOPHY(ゴリラフィロソフィー)。
ゴリラクリニックが日々の活動の中で大切にしてきた心構えを「基本理念」と「5beの精神」として制定したものだ。
One for all 一人はみんなのために
All for one みんなは一つの目的のために
5beの精神
be Pioneer パイオニアであれ
be Professional プロフェッショナルであれ
be Positive ポジティブであれ
be Partner パートナーであれ
+ be[ ]
──ドクターコネクトでは3年前にも、堀内様にインタビューさせていただいています。その後の変化についてお伺いできますか。
堀内 氏
3年前、吉澤さん(ドクターコネクト エージェント)がインタビューにいらっしゃった時は、全国展開を目指す途中でしたが、おかげ様で現在は全国で19院が稼働しています。ゴリラクリニックのサービスを提供できるインフラを整えることができた、という状況ですね。
私たちが提供したいのは男性の美容医療なのですが、まずは一番ハードルが低い医療脱毛を全国にお届けするところから、と考えています。
医療脱毛がフロント商品のようなポジショニングです。男性にとって高い敷居である美容医療のタッチポイントになるのが「脱毛」であることを踏まえると、それを全国にリーチすることができたということが、この3年で大きく前進したところだと思います。
──患者様層に変化はありますか。男性の美容に対する意識は変わりましたか。
堀内 氏
ゴリラクリニックを設立した頃、「マイナスポイントを克服する」というコンプレックスの解消がほとんどの患者様の大きなニーズでした。いちばん変化を感じるのは「コンプレックスの解消」から、患者様が望まれるその先が大きく広がってきたということ。
そして、新規の患者様の多くがコンプレックスを持っている男性ではなく、すでにプラスのアドバンテージを持っていらっしゃるような男性が多くなり、そのようなユーザーの求めている理想像がとても高いということです。レベルの高い男性がさらなるアップデートを目指してクリニックにいらっしゃっています。
さらに、昨年からのコロナ禍での社会構造の劇的な変化で、オンラインで何でもできるようになったことは追い風になっています。
リモートやシェアリングエコノミーにより所有するものの数が少なくなり、可処分所得はモノからコトの消費へと移っています。男性の自己投資は美容に対する投資も含めて、このトレンドが大きく影響していると感じます。
それを裏付けるように、ゴリラクリニックの来院者数は爆発的に伸長しています。リモート会議では、自分の顔がいやでも見えてしまいます。モニターで客観的に自分の顔を見て、美容に対する自己投資に踏み出す男性が増加傾向にあります。
社会環境の変化が、男性のアピアランスに対する考えを変えてきたように見えます。世の中の男性の自己投資が美容にも向いてきたことを、私たちはダイレクトに実感しています。
──女性の美容は「男性からモテたい」「いつまでも若くいたい」などがあると言われています。男性美容の患者様はどのような目的でいらっしゃるのですか。
堀内 氏
もちろん、モテたいという動機は男女共通のものであると思います。男性の肌のトレンドは「ツルツル」です。昭和な雰囲気の男らしさではないですね。パートナーや恋人から脱毛を勧められたので来た、という男性もいらっしゃいます。
男性の場合は、「モテたい」の他にも、ビジネスにおける優位性のために見た目を整えるという目的の方がいらっしゃいます。男性の方が、競争優位性に対してどん欲ですね。同世代よりも若く見えて「イケてる」アピアランスは説得力があるということです。
あと意外と多いのが、娘さんへの想いです。娘が描いたお父さんの絵に、ヒゲが点々と描かれていたのを見て、「やばい」と思って脱毛を始めたというエピソードを伺ったことがあります。
最近の父娘は距離が近い関係なので、いつまでも自慢の父親でいたいというのがホンネではないでしょうか。モテたいんですよね、娘にも。今の40代の父親層には、まさにそういう傾向があるようです。
女性は美容に対してエモーショナルな意思決定をすることもあるようですが、男性はかなり合理的に判断しています。例えば、カミソリ、電気シェーバー、これをあと30年続けた場合のコスト、費やす時間と手間を計算し、肌への負担も考え、ロジカルに決断なさっているようですね。
人生100年時代の到来により、今の若い世代は60歳でリタイアすることはできないでしょう。場合によっては80歳まで働かなければならないかもしれない。長くなる生存競争の中、ビジネス界で勝ち残っていくための「見た目」の重要性を認識している方が多くなっています。中長期的な考え方なんです。
──ゴリラクリニックで働くドクターの評価制度についてお伺いします。
堀内 氏
まず先にお話させて頂きたいのですが、ゴリラクリニックは組織として歴史が長くありません(※2014年設立)。さらにドクターの組織が確立してきたのはこの2年程度です。
当初は「脱毛をやっている得体が知れないクリニック」として世間に認識されていたようで、応募者も脱毛のカウンセリングで最大の所得を得ることが目的の医師が大半でした。
しかし、ここ数年で認知度が高まり、「ゴリラクリニック・ブランド」としての価値がようやく形になってきました。それと同時に、応募ドクターの質がかなり変わってきています。
ゴリラ・ブランドの確立、そして意識の高いドクターからの応募、このどちらも想定よりも早かった印象です。
周辺環境の変化と組織拡大により、今まさに組織体制と評価体系をアップデート中です。
評価の主軸はスキル面に置いています。具体的には、カウンセリングができる項目と内容、そして指導力も評価項目にしています。
この2段階制です。
先ほどお話したように、今は高い志を持ってゴリラクリニックを選択するドクターが増えました。特に美容に対して新しい価値観を持った若手ドクターが、大幅に増加しています。従来の医師とは違って「多様化」「持続可能性」「QOLの向上」に意識が高く、ジェンダーについても新しい考えを持っている若手のドクターが増えています。
かつては自由診療に対する偏見や批判的な風潮がありましたが、ここ数年は従来からの慣習というものにあまりとらわれない層が応募してくださるようになりました。
ゴリラクリニックは今、若手が中心のドクターの組織になっています。もちろん経験のある先生もいらっしゃいます。全体で見ると医療機関というよりはスタートアップのベンチャー企業のような雰囲気と言っても良いかもしれません。組織として確立していく途上にあると言って良いと思います。
市場の成長が著しく、患者様数が増え続けていることで、あまり余裕がある状況とは言えません。従って、チームビルディングに使う時間を作る余裕がなかなかできません。
総院長も自ら、最前線で患者様に対応中です。そういった意味では組織を確立していくのは徐々に、というステイタスです。
──患者様の勢いがすごいとのお話でしたが、コロナによる緊急事態宣言の影響はなかったのですか?
堀内 氏
緊急事態宣言を考慮して、予約枠を縮小したら、逆に患者様からたくさんクレームをいただいてしまいました。
コロナ以前よりも更に強い追い風を受けて、成長を続けています。
加速していた男性美容に対する需要が、更に加速したことを実感しています。生活様式が変わったことで「逆に」やらなければいけない、と思われる男性が増えているように感じます。
人生100年時代と言われるようになって、「それなら早目にやった方が得だよね」というリテラシーの高い男性が来院なさるようになりました。特に20代、30代です。事前によく情報収集をした上でクリニックにいらっしゃいます。脱毛にしてもAGAにしても、早めに手を打つことが大切だということをご存知です。
──ゴリラクリニックの医師の採用基準、求められる医師像についてお伺いします。
堀内 氏
採用方針はブランド設立当初から変わっておらず、スキル・経験よりも、私たちが実現しようとしている「未来」に深く共感できるかが、最重要事項です。
このような想いを共有できるドクターに来ていただきたいです。
男性美容はまだマイノリティですが、近い未来にはマジョリティになっていく、という私たちのストーリーに共感してくださること、そこが重要ですね。男性美容をライフワークとして捉えることができるかがポイントです。
──入職後の研修体制について伺います。
堀内 氏
企業拡大と伴に指導者が増えてきたのでマンツーマンで研修ができるようになってきました。指導医と一緒に勤務していただきながら研修を行っています。以前は短いオリエンテーションを行ったらすぐに独り立ちしていただかなければならない時期もありましたが、今はフォロー体制も整いつつあります。
──今日、ご同席下さっている山元様は医師の採用・研修などのご担当でいらっしゃいますね。
山元 氏
はい、私を含めて2名体制でドクターの採用や入職後のフォローを行っています。入職後のケアも担当していますが、ドクターのお話を聞きながら様々な点を改善している状況です。研修は大体1ヶ月で独り立ち、その後は随時、フォローしていく体制です。
堀内 氏
現在、山元は医師の採用に関するエージェントとの折衝、面接、入職後のフォロー、医師の相談役など幅広く仕事をしていますが、今後は、医師採用広報としても活躍して欲しいと考えています。
──では、山元様にお尋ねします。お仕事で一番難しいと思われるところ何ですか。
山元 氏
バランスをとることでしょうか。発展途上の院内からは、様々なポジショントークやご意見が上がってきます。スタッフが働きやすい環境を作るために大事なのは、バランスをとりながら、折り合いを見つけていくこと。そこが一番難しいところです。
──ゴリラ・フィロソフィーの「5beの精神」では、5つ目は職員の皆さまがそれぞれご自身の「be ◯◯」をお考えになると伺いました。ゴリラクリニックの医師の方々はどのような「be ◯◯」を掲げられるのですか。
山元 氏
ドクターから出されている各個人の「be ◯◯」は、日本語で表現すると、
などですね。ゴリラクリニックは、そういうマインドセットの医師が多いんです。
堀内 氏
そうなんです。医療系でよく見られるヒエラルキーが明確ではないという特徴があります。面接でお話を伺うと、旧態依然を好みそうだなと思うようなドクターがいらっしゃいますが、そういう方はゴリラクリニックのカルチャーが合わないと思います。
ドクターというのは「属人的な価値」に重きを置く方も多いのですが、そうではなく、「組織としての価値」を大切にしてチームとして機能している医師、柔軟性のある医師が私たちの組織にフィットすると思います。
──皮膚科専門医優遇、という求人を出されていますね。
堀内 氏
私たちのビジネスにはイノベーションを起こせるドクターが不可欠なんです。もちろん、日々の実務をこなしていける立場のドクターは必要ですが、ビジネスを進化させてイノベーションを起こしていくドクターも必要であると考えています。
おそらくこれからいろいろな医療関連のテクノロジーに世界中で破壊的な革新が起こっていくでしょう。美容医療分野においては、日本国内の男性美容に対するタッチポイントになるのは、ゴリラクリニックだと思っています。
男性の健康寿命が伸びて、生涯就労時間も伸びて、男性も「見た目」をどうにかしなきゃという価値観の中で、男性美容の需要はどんどん伸び続けていくと思います。
──入職後のキャリアパスについて伺います。院長職以外にはどのようなものがありますか。
堀内 氏
ゴリラクリニックは、脱毛の他にスキンケア、ボディメイキング、AGA、多汗症など、いくつかの領域のサービスを行っています。それぞれに専門性の高いプロジェクトチームがあり、それはカウンセラー、看護師、ドクターというメンバーで構成されています。
プロジェクト・チームは、商品設計からコミュニケーション戦略、どのように施術の効果を上げるか、どのように顧客の満足度を上げるのか、さらにその先のQOLの検証までを行います。
──横断的なチームで戦略を考えていく、という経験は医療サービスのマーケティングとして面白いですね。意識が高いドクターはチャレンジしてみたいと思われるのではないでしょうか。
堀内 氏
既存の医療機関は、治療結果が目的となっていますが、これからは別の思考が必要であると考えています。
例えば、ヒゲの脱毛の先にある、QOLの変化が「ストーリー」として読めていないと、ビジネスとして成功しないのではないでしょうか。顧客のQOLの変化、それを形にしていくのがゴリラクリニックだと考えています。
──新規ビジネスにも取り組んでいらっしゃると伺いました。
堀内 氏
いくつかの取り組みがありますが、現在、公式にお話できるのはホームケア領域のゴリラ・コスメティクスです。これは、3年半の開発期間をかけて、ゴリラクリニックが本気で開発した男性用コスメになります。皮膚フローラに着目し、男性の皮膚を解析して最適化していくロジックを化粧品に活かした商品です。
──そのような新しい知識や情報を、患者様と共有できるドクターを必要としていらっしゃるのですね。
堀内 氏
そうです。そのためには、まず、熱意です。男性は今まで何もやってない分、ヒゲがなくなった上に、スキンケアも始めると間違いなく肌の「かつてない成功体験」を得られます。
ゴリラクリニックが患者様の人生のターニングポイントとなって、そこからQOLが上がっていく。患者様の意識と人生を変えるきっかけをお伝えできるドクターを求めています。
──医師の採用は今後も積極的にお考えですか。
堀内 氏
はい。採用は積極的に続けていきます。
100人以上のエージェントとお付き合いをさせていただいていますが、その中で、ドクターコネクトは採用させていただく確率がダントツに高いです。これはつまり、書類審査や面接など、採用にまつわる私たちの労力と時間をセーブできるということです。
──最後に、ゴリラ・フィロソフィーの「5beの精神」の一つ、「プロフェッショナルであれ」について。医師にとってのプロフェッショナルとは、どのようなものとお考えですか。
堀内 氏
効果とリスクのバランスを適切に伝えること、だと思います。
ゴリラクリニックが目指すのは「男性美容 売上No.1」ではありません。目指すのは、「価値のある、支持されるブランド」なのです。
美容クリニックの顧客のビヘイビアは変わってきている。特に男性顧客のそれは社会の変容を敏感に反映している。
「男性の自己投資が美容にも向いてきたことを、数字から確かに実感している」という堀内氏は、美容クリニックのマーケティングや組織を意欲的に進めている、ニュージェネレーションのお一人である。
ゴリラクリニックの躍進の理由は世の中のトレンドに乗っただけではない、ということが、今回のお二人のインタビューでよく理解できた。 社会を変えようとしているゴリラクリニックから、私たちは今後も目が離せない。
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