美容医療の医師のバイト求人において美容皮膚科がダントツに件数が多い訳は、美容皮膚科にはAGAや医療脱毛も含まれ、どちらかに特化していても美容皮膚科に分類されるからだ。
AGAや医療脱毛に比べ、美容皮膚科に特化した診療は、知見や注入などの技術も必要となり、バイトをするには敷居が高いと思われる方が多いようだ。
しかし、週1日でも貴重な時間を提供するのであれば、医師のキャリアにプラスが多い方がよいのではないだろうか。
実際、美容皮膚科の常勤医師、さらに開業まで至った医師も、最初はバイトから始めているケースが多くある。
今回は美容皮膚科をメインとして、非常勤で働く女性医師に実務内容を語っていただいた。更に当時の担当エージェントがインタビューに同席し、その時どう対応したのか、何を指針に医師求人を紹介していったのかを訊いた。
医師バイトをお探しの方に、自由診療や美容皮膚科で非常勤として働くことのイメージがリアルにお伝えできればと思う。
将来的なビジョンがあるから戦略的にキャリアを積みたい。
でも、医局を離れた医師が自分の要望にあったクリニックを一人で探すのは、実は難しい。一見、売り手市場に見える医師の転職だが、落とし穴もあるので気をつけていただきたい。
大学の医局から出られて、3つの美容クリニックで非常勤を経験なさった女性医師にお話を伺った。クリニックの求人は流動しており、転職を希望する医師の要望に合うクリニックの求人がいつ出てくるのか、そのタイミングが難しいのだが、その点についてエージェントにも訊いてみた。
──今回のインタビューは「アルバイトで美容皮膚科に入る」がテーマなのですが、アルバイトで美容皮膚科に入ると、実際はどのように仕事をなさることになるのしょうか。
美容皮膚科医
もともとの専門科目によって違う部分はあると思いますが、私は皮膚科なので皮膚科で行っていた「肌の診断」は美容皮膚科でもそのまま行っています。それに加えて、最初のクリニックではレーザー治療や光治療のカウンセリングを主に担当していました。
──肌の診断のほかに、保険診療で行っているシミ治療のご経験は役に立ちましたか。
美容皮膚科医
役に立っている部分もあるとは思いますが、美容皮膚科にいらっしゃる人は保険診療でとれるシミとはまた別ですね。老人性色素斑など保険が聞かないシミがターゲットになるので直接的に役に立ったかというとそうでもないです。
それよりは、ニキビの治療やアトピー性皮膚炎とかのトラブル肌にどう対応するかという経験が役に立っていると思います。というのは、ニキビやアトピー性皮膚炎はレーザーで色素沈着しやすかったりするので。そういう判断がつくのは美容皮膚科でも役立ちますね。
──大学でレーザーを実際に患者さんに当てるご経験はあったのですか?
美容皮膚科医
それが、無かったんです。レーザー治療を担当していなかったので。
──それでは、最初の非常勤先でレーザー治療をどのように学ばれたのですか。
美容皮膚科医
未経験でも非常勤勤務だと、通常はクリニックも研修は考えないと思います。よっぽど自分から「教えてください」と動かない限り、週1回来る医師のために研修が組まれることは少ないですね。
私の場合は、クリニックに用意されている資料を読んで、カウンセリングを担当しました。実際の施術は看護師さんが行っていました。患者さんの対応をしていると、始めのうちはもちろん、分からないことも出てきます。そういう場合にはベテランのスタッフさんに尋ねました。資料や本で勉強しても分からないことでも、ベテランのスタッフさんの説明を聞くと良く分かるんですね。
──3つのクリニックで非常勤を経験なさっていますが、アルバイト医師のニーズがあるクリニックには特徴みたいなものがあるのでしょうか。
美容皮膚科医
未経験で非常勤からのスタートっていうと採用してもらえるクリニックって限られるみたいです。しかも、私はいろいろと希望もあったので、けっこう無理難題を言って(笑)エージェントに探してもらうことにしました。
正直、いろいろなクリニックを自分で調べて選んだわけでないんです。なので特徴と言ってもよく分からなくて。もともと、医師って就活みたいなものに不慣れなので、アルバイト先を探すのはプロに頼ろうと思ったんです。
──アルバイト先の条件として、先生からはどんなリクエストをなさったのですか。
美容皮膚科医
大学で保険治療も基礎研究も経験しました。その上で、美容医療を勉強したいなと思ったんです。勉強するなら短期間で習得したいという思いがありました。給料とか立地に関することよりも、とにかく不安なく仕事ができるところ、とお願いして探してもらいました。
きちんとした研修があるというのも希望していたのですが、それはなかなか非常勤では難しかったですね。
──「不安なく仕事ができる」ということですが、どんな不安があったのですか?
美容皮膚科医
それまで大学の医局で守られてきたわけですから、外勤とかも医局からの派遣という形でした。派遣先では、「先生、来てくれてありがとうございました」というような形で仕事が始まるんですね。
そんな後ろ盾となっている大学から出て、一人で始めてのことをどのくらいできるのか。そう考えたとき、非常勤を探すのはやっぱりプロの力を借りるのが一番かなと思ったんです。
ただ、1社だけに頼るのは心配だったので、同時に2、3社に相談しました。ドクターコネクトさんの体験談でお話するのも何ですが、皆さん、そうしていらっしゃると思います(笑)。
先生にお会いして、正直なお気持ちと転職に関するご希望をいろいろ伺ってお探しすることになりました。
完璧に先生のニーズと合っているクリニックの求人はなかったのですが、ご希望になるべく近いクリニックをご紹介して、そこのメリットとデメリットもお話しました。
最初にご紹介したのは「未経験」でOK、看護師さんの施術でほぼほぼまわっているクリニックです。そういう場所は、先生が転職してからプレッシャーみたいなものが少ないんですね。
最初の美容クリニック勤務としては、ある意味理想的な場所でした。まずは、美容医療のカウンセリングや雰囲気を経験していただいて、時間があれば美容医療の勉強もしていただければいいなと考えました。
──医局の先輩で、美容クリニックに勤務した成功例みたいなお話は無かったのですか?
美容皮膚科医
無かったですね。だから分からなかった。そういう状況だったので、エージェントにお任せしたんです。
──非常勤先を変えたのはどのようなきっかけですか?
美容皮膚科医
有難いことに、一つのクリニックにしばらく居ると、そのうち勤務日数を増やしていただけるんですね。最初はゼロからのスタートですが、慣れてきた時点で、しかも日数が増えると、仕事に関してもいろいろと分かってくることも増えてきます。
そうこうしているうちに、最初のクリニックには無い、他のこともやりたくなってきて、エージェントに次のクリニックを探してもらいました。
最初のクリニックで勤務を順調に続けていただいていたのですが、しばらくして、そのクリニックが持っていない他の美容医療機器を経験してみたい、というご要望を先生からいただいたので、別のクリニックでのアルバイトもご紹介することになりました。
最初のクリニックが先生の勤務日をもっと増やしたいと考え始めたのと、先生が他のクリニックで勉強してみたいと思われたのが、同じタイミングでした。
最初にご紹介したクリニック、当社にとってはクライアントなのですが、そちらからお叱りをいただくのを覚悟で先生のために次の場所をお探ししました。
──現在、勤務なさっているクリニックを選ばれた理由は?
美容皮膚科医
美容医療を学びたいと思った最初のころから、それこそ給料無しでも良いから、「症例の多いクリニック」「ベテランのドクターがいらっしゃるクリニック」「研修がしっかりしたところ」で働きたいと思っていましたが、ご縁があって、現在は当初希望していたようなクリニックで勤務ができるようになりました。
タイミングが良かったのかもしれませんが、まさに希望どおりのクリニックです。
クリニックの求人も波があります。先生のご要望に合うようなクリニックから「皮膚科専門医が欲しい」というニーズをタイムリーに拾えたのは、私たちがクリニックのニーズのリサーチを日頃から欠かさないことがお役に立てたかと思います。
──勤務なさった3つのクリニックの患者さんはそれぞれどんな感じでしたか?
美容皮膚科医
3つのクリニックで全然違いました。1つ目のクリニックは、どちらかと言うと幅広かったですね。若い方からご年配の方まで、経済的にも裕福な方からそうではない方までいらっしゃいました。
2つ目は特殊なクリニックだったのでオーナーのご紹介の方が多かったです。ご年配でお金を持っていらっしゃる方がメインになっていたでしょうか。
現在勤務しているクリニックは、長く通われている年配の方もおいでになるし、ネットで調べていらした若い方もいらっしゃいます。価格設定が高めなので、継続していらっしゃるのは年配の方が多いようです。
──3つのクリニックで非常勤を経験なさって、患者さん対応やスタッフとの人間関係など、何かご苦労はありましたか。
美容皮膚科医
あんまり無かったです。大学の方が辛かったです(笑)。いい職場を紹介していただいたんだと思います。
友人の話を聞くと、辞める時にトラブルになったとか、出来ないことを無理矢理やらされたとか、よくわからないお薬を売るように言われたとかそういう話はたくさん聞くので。(医師が転職先を)自分で探すととそういうこともあるんだなと思いました。
私はそういうことは全く無かったんですよね。そこは、お任せしたからかもしれないです。
──今後、やってみたいと思われる施術はありますか?
美容皮膚科医
2つ目のクリニックでは注入を希望する患者様の対応もしなければならなかったので、ボトックス注入をメーカーさんからご協力をいただきながら学び、実際に注入を行っていました。
注入に関しては1つめのクリニックで、一度、簡単な研修を受け、スタッフの方を相手に練習をさせてもらいました。でも現在は注入治療からは遠ざかっています。結局、ボトックス治療も症例数を積まないと難しいと思うのです。
今後の話で、まだ決めてはいませんが、将来自分の手技の中にボトックスとヒアルロン酸を加えていくと考えたら、また、エージェントにお願いして注入系が多いクリニックで修行させてもらいたいです。
皮膚科の中でたまに注入をするくらいでは、注入は習得できるものではないと思います。今現在は、保険診療もしながらもっと美容皮膚科でできることを深めていきたいなと思っています。
最近、分子栄養学の勉強もしています。サプリメントも面白いかなと。サプリメントはいい加減に飲まれていることが多いのですが。大学院で免疫の基礎の研究をずっとやっていたので生化学的な分子栄養学には興味を持っています。患者さん向けの動画なども作ってみたいなと思っています。
──将来的に開業を目指していらっしゃるのですか。
美容皮膚科医
もとから考えていました。そして、自分が開業するときには、保険の皮膚科だけだとつまらないなと考えていました。父も医師で、自由診療をやっている関係もあると思います。
ただ、自由診療だけでもだめなので、ちゃんと保険診療をやって、プラスαで自由診療も、ということで、今、勉強しているわけです。
──開業なさるときには、どのようなメニューを揃えたいとお考えですか。
美容皮膚科医
場所にもよると思うんですが、フォトフェイシャル、ピーリング、レーザー、それくらいから始めていくでしょうか。もし、開業する時に注入もできるようになっていたら、ボトックス、ヒアルロン酸の簡単なところまではやりたいですね。
ニキビや水虫などの保険診療に来て下さった方が、ここの皮膚科に来れば大体、なんでも解決してもらえる、サプリメントも買えるというようなクリニックにしたいです。
レーザーは即効性では劣るので、直後に効果がわかるボトックスは喜ばれると思うので注入もあればいいですね。包括的に診れるような、男性も女性も来てくださるような、そんなクリニックを考えています。
──美容皮膚科の非常勤、アルバイトの経験が、どのように役立っていくでしょうか。
美容皮膚科医
常勤は研修もあるのでそういう点では良いと思うのですが、非常勤は気楽さがあるので良いと思います。
複数のクリニックを経験できますし。大学の医局にいると、そこしか分からなくなるのですよね。常勤で入ってしまうと、また同じ状況になる可能性もあります。
自分の勉強の進行度合いによって、勤務するクリニックを変えることができる点は、非常勤のメリットでしょうか。もちろん、転職するときにはご迷惑をかけますが、前々からお伝えすることで、常勤を抜けるほどではないと思います。
そして、クリニックによって異なる、患者様、価格設定、施術、そういうことを経験できるというのも大きいです。
保険診療は数を診ないとどうにもならない、周りにも迷惑をかけるので、まわしていかなければならないところはあります。患者様の対応という点で、根本的には保険も自費も違うことはないと私は思っているのです。
自費診療の経験で丁寧な患者様対応ができるようになったことは大きいと考えています。
大学では「患者様」という概念もまだまだ無いように思いますね。大学病院は「診てあげている」という考え方が強くて、そこにいるとそれが染み付いてしまうのかもしれないです。非常勤で勤務して、そういう考え方が一度リセットされたのは良かったかもしれないです。
自分の勤務しているクリニックを選んで来て下さった、患者様は「お客様」なのですから。
美容医療業界、自費診療へ転職を検討されている医師・研修医を対象とした、クリニック見学会のご案内です。
美容医療業界への転職は転科を伴うことも多く、またクリニックの個性も様々です。医師転職ドクターコネクトを利用される医師からは、入職後の不安や疑問が多く寄せられています。
医師転職を成功させるために、ぜひ院内見学をご利用ください。日程調整やお申し込み、見学当日のご案内・同行まで、医師転職コンシェルジュがフルサポートいたします。
私たち紹介会社は、先生が入職後も「フォロー」していきます。こう言っては語弊があるかもしれませんが、ある意味「クリニックさんの対応をチェックしている」という言い方もできるかもしれません。
クリニックとコンタクトをとって、先生のご様子を伺いながら、クリニックがちゃんと先生のことを大事にしてくれているか、私たちは双方を見ています。ここまで見ないと、マッチングしているのか分かりませんから。私たちにとってクリニックはクライアントなので、もちろん大切なのですが、そこで勤務する先生方も同じように大切に考えているのです。