2000年に神奈川県の藤沢市で「湘南美容外科」からスタートしたSBCメディカルグループは、97院(2019年10月現在)を展開するまでになっており、今なお、成長と拡大を続けている。
診療科目においても美容外科にとどまらず、美容皮膚科、審美歯科、婦人科(不妊治療)、血管外科(下肢静脈瘤)、毛髪再生医療、整形外科、眼科、がん免疫治療、保険診療などを行っている。今後も「世界一、患者様に愛されるクリニック」を目指しているという。
人事担当として、これまで約1,000名以上の医師を見て来た、SBCメディカルグループ( 湘南美容クリニック) 西日本事務局長の田中 知哉(たなか ともや)氏に、医師採用にまつわる「実は困ってしまうケース」も含めて、最近の医師の採用について伺った。
──2020年には、美容クリニックだけで100院の開院が目標と伺いました。急速な拡大ですね。
田中 氏
はい。しかし、実は最近、医師の採用が好調に進んでいるので、ここで一旦、採用した医師の教育に更に力を入れることを優先する方向で考えております。美容医療の質を守るためには、医師の教育は最重要事項のひとつなので、そのため開院のペースを若干落とす可能性もあります。
「量よりも質が大事」ということです。現在、おかげさまで美容クリニックのお客様は、リピーター・紹介率が90%以上という実績になっています。
お客様から評価いただいている結果のこの数字を維持していくためには医療やサービスの質が大事であるということ、この方針はずっと変わりません。
──特番も含めて貴院の医師はメディアによく出ていらっしゃいますね。SNSだけでなく、マスメディアも上手く活用なさっていらっしゃるように拝見します。
田中 氏
はい、コマーシャルと同様に美容医療のイメージ向上だけでなく、世界一の医療グループを目指しているので、今後もいろいろな施策を考えていくと思います。
10月6日よりテレビ朝日で毎週日曜日の深夜に放送される「名医の極み」という新番組をスポンサーします。各分野の最先端であり最善の医療、「極み」と言えるような名医の方々の現場に密着する番組です。第一回は、東京女子医科大学・脳神経外科の林基弘先生をフォーカスします。
──美容医療はもちろん、それ以外の科目も成長させていくという、貴院の意気込みが感じられます。
田中 氏
グループ代表の相川が目指すのは、「お客様(患者様)にとって何が良いのかを考え、実現していくこと」。
例えば、歯科で言うと、保険診療では何回か通院しなければならない治療を、1回で済ませるようにすることですね。
当院は美容医療から始まり、現在はがん治療を含めて保険診療ではできない治療を行っていますが、これら全ての根底にあるのはお客様(患者様)のメリットです。
将来的には保険診療も含めて、医療全体をどこに持って行くかを考えて運営をしています。
全米で最も優れた病院の一つとして常に高いを評価を得ている、アメリカのメイヨー・クリニックをモデルとさせていただいています。
そのためには、まず、美容で圧倒的に日本一になることと考え、それを目指しています。
──先ほど、美容医療の医師の採用が好調でいらっしゃると伺いました。医師の採用では苦労なさっているクリニックが多くある中、貴院の採用が好調な理由はどこにあるのでしょうか?
田中 氏
ひとつは、美容医療のイメージが変わってきたということだと思います。おかげさまで、良い医師が来てくれるようになりました。
そういう良いドクターが大学の後輩に美容医療のやり甲斐等現状を説明して紹介してくれるので、良い医師が集まるようになりました。医師の方々の美容医療の認識が変わって来ているように思います。
また、SBCの価値観を分かって応募して下さる医師が増えてきていることがあります。そして医師紹介会社さんも同様に、当グループの価値観を理解してくださったうえでのご紹介なので、採用も以前と比べて変わって来たように感じます。価値観は当院で一番大切にしているところなので、有り難いです。
──人事のご担当が5年と伺いました。これまで何人くらいの応募者に会われてきたのですか?
田中 氏
私は以前は病院にもおりましたので、それを含めて約1,000人を超える方とお会いしたと思います。最近は本当にいらっしゃる方が変わってきたように感じています。以前はあった、「とりあえず行ってみよう」という見学者は減りました。
そのため、採用担当として、効率的に良い候補者を採用できるようになってきています。「人間対人間」が基本の医療ですので、お客様から見てどれだけ信頼されるドクターになるだろうか、そういう観点で見させていただいています。
──恐縮ですが、採用でのご失敗などがありましたら、差し支えないところでお話いただきたいです。
田中 氏
そうですね。当院では教育を大切にしており、きちんとした教育体制があることを面接でもお話しています。そうしますと、入って来られた先生の中には稀に、たいへん受け身な先生がいらっしゃいます。教育の体制はしっかり作っていますが、ご自分でしっかりと学ぶということは肝心です。
また、困るのは「素直」ではない方です。それまでのご自分の人生の価値観でしか判断できないと、どうしても「前職ではこうだった」ということにとらわれます。それまでのご経験を一度リセットして、SBCのやり方を受け入れてくださる先生は上手くいっています。
ご自分の中で価値観を作ってしまって、それを変えられない方は入職なさってもうまく行きません。
──西日本のご担当ですが、その地域ならではの特長がありますか?
田中 氏
あります。例えば、歯科のセラミック治療ですが、全てがそうではありませんが大阪だったら「どうせやるなら、一番白いのにして」というご要望が多くあります。
一方、関東に来ると「もともとの歯の色とあまり相違ない色で」というリクエストが多い傾向にあります。大阪と京都では、また少し違っていたり、地域の特色はあります。
美容に関しては、地方であればテレビと口コミの影響は大きくなります。そこは意識して、地方局の番組に医師に出演してもらうなど、意識してマーケティングを行っています。
──勤務なさっている医師も、西日本では近くのご出身が多いのですか。
田中 氏
いえ、そのようなことはありません。ただ、先ほどお話したように「素直」な感覚をお持ちになって、勤務先の地方の文化をスッと受け入れるかどうか、です。
そこが大事なのですが、ドクターの資質如何ですね。関西のクリニックでも関東出身の医師が活躍しているケースもあります。
また出身地が理由ではなくその先生の医療技術やサービスを目当てに、関西だけでなく全国からも患者さんがいらしています。
──今後の美容医療において、地方の市場性をどのようにお考えですか。
田中 氏
地方から優秀な医師が美容医療を目指す際に、関東や関西等の主要都市しかなかった時代はもう終わりました。
関東と関西は人口は多いのですがその分クリニックも多く、ある意味需要と供給のバランスは取れています。もちろん美容医療に携わる医師も多くいらっしゃいます。
その中で選ばれるドクターになるためには、自己ブランディングも必要になってきています。
一方、地方は実は美容医療の需要が大きいにも関わらず、美容医療の医師が少ないというのが現状にあります。そういう話をさせていただくと「それなら地方でやりたい」という医師も最近は増えてきました。
──SBCでは、チャットを使って医師同士で頻繁に情報交換なさっていると伺いました。
田中 氏
はい、ラインワークスというツールを使用し、ドクターだけのグループなど、いろいろなグループが情報交換を行っています。全社グループでは、代表の相川から毎月メッセージが伝えられ、価値観の共有を行っています。
「売り上げだけのクリニックはいずれ廃れる」ということは全員が理解共有していると思います。 お客様の満足を得て、「三方良し」を実現するために、情報や理念の共有は大事です。
そして、純粋に皆で助け合い、高め合うという雰囲気ができています。ドクターのグループでは、症例や技術も共有されるので、新任の医師も250名の医師の知見を共有することができる体制になっています。
お客様の数が多いからこそレアケースの症例も共有できるのです。こういう知識と経験の積み重ねは、随時マニュアルに反映されています。
~インタビューを終えて~美容医療の売手市場は終わったのか?
今回の湘南美容クリニックのインタビューで、売手市場と信じていた美容医療業界への医師の転職に大きな変化が見えてきました。
社会における美容医療の役割を明確なビジョンにしながら、医師の仕事を意義あるものとして、その上、大きな組織では難しい「つながり」「信頼」「知と経験の共有」を実現させているのがSBCメディカルグループの凄いところだと実感しました。
「採用」というよりも「人材獲得」という言葉がピッタリとくるSBCの医師・研修医対象クリニック見学会は、そういう意味でも一見の価値があるものとなっています。
ドクターコネクトでは随時SBC見学会のお申込みを承っております。下記フォームよりお問い合せください。
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研修医から美容医療業界へ進路を決める医師が増え、競争率は年々上昇しています。特に有名な大手美容クリニックは研修体制が整っているため、若手ドクターに人気です。
美容医療に興味があるが進路を決めかねている理由として、
などがあります。しかし、迷っているうちに好機を逃してしまうことも。
こちらの対談では、多くの若手ドクターを入職させたベテランエージェント二人が、美容医療業界の現状と就活のタイミングなど、リアルな情報を提供しています。
ぜひ、ご一読ください。