美容施術ラボでは美容皮膚科未経験で転職をご検討の先生を対象に、美容皮膚科クリニックの注入系施術において広く使われる「コラーゲン」と、その施術による効果や注意点について解説いたします。
注入系の施術は美容医療に抵抗がある人々にも受け入れられやすく、もはやニーズが高いというより「定着」しています。コラーゲンの注入は美容皮膚科だけではなく、整形外科や歯科でも定着している施術ですので、医師転職活動の前知識としてお役立てください。
まずは注入剤を利用した施術の特徴、利点や注意点をまとめました。
コラーゲンは状態によって物理的・化学的・生理的特徴が異なるが、生体内では細胞外マトリックスの主要な構成成分として、繊維状で存在している。
コラーゲンは生体を作るタンパク質として多くのはたらきを持っている。一般にタンパク質は生体中で球状で水に溶けた状態だが、コラーゲンは線維状あるいは膜状の構造体を作り水に溶けない状態で存在しているので、臓器の形を作り、臓器と臓器を結合させて境界を作っている。
生体内のコラーゲン総量は、ヒトの全タンパク質の約25〜30%を占めており、皮膚、腱、軟骨、骨、血管壁、歯などに多く存在している。特に、皮膚には全コラーゲンの40%が存在する。発育期や創傷治癒時の結合組織ではコラーゲンの生成・分解が盛んに行われ組織が再生されるが、コラーゲンは化学的に安定なタンパク質なので、皮膚、骨、関節などに存在するものは長期間分解されない。これはコラーゲンが持つ特有のアミノ酸配列構造、架橋結合、3重らせん構造が酵素分解を受けにくいためと考えられている。
健康なヒトの組織中のコラーゲンは、皮膚で15年、軟骨で117年の半減期を有すると報告されている(Verzijlら, 2000)。
コラーゲンはその物理化学的性質から構造や機能の異なる分子ファミリーに分けられている。発見順に型名を付けられ、約30種類のコラーゲンが発見されている。線維を形成する線維性コラー ゲン(Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅴ型など)、膜を形成したり線維形成を補助したりする非線維性コラーゲン(Ⅳ型、Ⅵ型、Ⅻ型など)がある。生体内で比較的長く存在するのはⅠ型コラーゲンである。
コラー ゲン線維が真皮の乾燥重量に占める割合は約 70%にもおよび、真皮の物性に多大な影響を及ぼしている。真皮のコラーゲン線維は、I型とⅢ型のコラーゲンから構成されいて皮膚のハリを支えている。加齢とともに、Ⅲ型コラー ゲンとI型コラーゲンの比率が変化することがわかっていて、これが真皮の変化に影響を及ぼすと考えられている。
美容医療や抗加齢医療の分野で注目されている「糖化」の作用は、AGEsの蓄積により、Ⅰ型コラーゲン線維に構造変化を起こし、生理機能、特に細胞活性へ影響を及ぼすことが知られている。
コラーゲンの構造変化は、真皮以外にも動脈硬化、骨粗鬆症、関節の痛みなど、全身の老化現象に関わると考えられている。関節リウマチ患者の骨コラーゲン(軟骨はⅡ型コラーゲンが主成分)構造は、老化による架橋構造の変化が多く、骨質の低下につながっていることが報告されている。
美容 | しわの改善 |
眼科 | ドライアイのコラーゲンプラグなど |
歯科 | 歯茎再生など |
1970年代に動物由来コラーゲンの使用が始まり、80年代に入ると牛由来コラーゲン(牛のコラーゲンからペプチド部分を取り除いたアテロコラーゲン)が注入剤としてFDAに認可され、広く使用されるようになった。しかし、牛由来はおよそ3%にアレルギー反応が見られたこと、90年代に入り、狂牛病が問題となったことから牛由来コラーゲンは使用されなくなった。
2003年、ヒト型コラーゲン製剤「コスモダーム」がFDAの認可を受けた。これは、ヒトの皮膚の繊維芽細胞からバイオテクノロジーによって培養・分離精製したもので、従来の動物由来のコラーゲンとは異なり、アレルギー性や病原性のリスクが低い。
今回はコラーゲンについて解説いたしました。他の注入系成分・製薬についても解説しておりますので、ご興味がございましたら是非ご一読ください。
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