臨床研修修了後に直接自由診療の美容医療の分野に進まれる医師は「直美(ちょくび)」と呼ばれ、業界ではトレンドワードになっています。年間およそ200人にもなると考えられている「直美」医師数の増加は、医師の偏在を問題視する厚生労働省にとって悩ましい問題のようです。
2024年12月10日、厚労省は第15回地域医療構想等に関する検討会を開催しました。果たして「直美」の規制は始まるのでしょうか。美容外科や美容皮膚科を志望する研修医は、今後どうすれば良いのでしょうか。
2024年、厚労省のニュースで大きく話題となった「医師の偏在」は、東京・大阪・京都など大都市圏での勤務を望む医師が多く、地方や僻地の病院を希望する医師が少なくなっていることから起きています。 その理由は下記のようなものです。
・専門的な医療技術や新しい情報を学びたい
・家族や子どもの教育でよりよい場所に住みたい
医学部で払った学費をなるべく早く回収したい
若手医師の立場としたら、自然であり当然の希望のような理由です。
しかし、武見厚生労働大臣は「医師の偏在対策は待ったなし。何としても解消するという強い覚悟と決意を持って精力的に検討していく」と述べています。現在、2024年度の補正予算案まで出されて、本当に「待ったなし」で進められる政策となっています。
今後は大学の医学部でも卒業後に一定期間、特定の地域での勤務を義務づける「地域枠」の拡大なども検討する見通しです。医師が美容医療に入職してしまうと、専門研修制度で定員をコントロールする前提が成り立たなくなる、つまり、医師の偏在を解決しようとしているこれらの厚労省の思惑が、ますますうまくいかないことになりそうだと考えられているのです。
今年、医師の働き方改革が行われましたが、それでもなお、本質的な問題である厳しい労働環境は大きく改善されているとは言えず、報酬と労働時間のバランスを考えると勤務医は「タイパの悪い」仕事だと、多くの若手医師は感じているようです。
医師偏在対策会議の報告書(厚労省医政局・2024年9月)によると、「地域包括ケアを担う医師あるいは専門医を養成するためのプロセスとしては保険診療の臨床経験は極めて重要なものであり、有用なものになる。保険医療機関の管理者要件として、一定期間の保険医療機関勤務を求めることを検討する」とあります。
「若手では美容医療に行く人も増えているが、美容医療に携わる要件として、一定期間を医師少数区域に行ってもらうのも一つの考えでは」という報告も上がっているようです。
「国公立でも私立でも、医学部には国の税金が投入されている。医師養成の過程で多額の税金が使われている。医師になったのなら、それを国民に還元する役割がある」という意見もあり、今後の医療政策の動向から目が離せません。
様々な提案と議論が交わされていますが、美容医療業界への転職を考えるきっかけとなる理由が解決されるわけではなく、若手医師らの美容医療業界への転職を歯止めする根本的な抑制力になるかは未知数と感じられます。
2024年11月22日に厚労省は2023年の医療施設調査・病院報告の概況を公表しましたが、美容外科を標榜する診療所は2020年から3年間で43.6パーセント(612施設)増えて、2016施設となりました。
・美容外科 2016施設
・脳神経外科 1881施設
・婦人科 1908施設
・腎臓内科 2399施設
他の診療科目の施設と比べても、美容外科がとても身近な施設になっていることがわかります。
厚労省の医療行政は、美容医療にとって逆風になるかもしれないという見方もありますが、一方で美容医療業界の需要はまだまだ勢いがあり、美容外科医や美容皮膚科医として成功する医師も多いのではないでしょうか。
厚労省の動きに加えて、クリニックの採用計画、各クリニックの人気度・実際の働きやすさなど。これらの情報を押さえながら規制が具体的になる前に、早めに転職活動を始めることをお勧めしています。特にクリニックの採用計画は、経営計画に伴い、意外な時期に増減します。
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