医師が転職を考え進路を選ぶときに、それは将来的に成長していく分野であるのかを視野に入れ検討することは重要だ。
医療とはいえビジネス色の強い美容医療では、男性をターゲットとした「市場」が年々拡大し、今後も成長が見込めるといわれている。
美容クリニックに来院する男性の要望や理由としては、
「身だしなみの時短をしたい」
「女性にモテたい」
「年収を増やしたい」
など様々だが、男性の「見た目」に対する意識が大きく変わったことが覗える。
事実、男性の美容医療市場の伸びは堅調だ。意外なことに、男性の方が人生における「ビューティ・プレミアム」は大きいという調査結果もある。
男性専門の美容クリニックは開院から成長を続けており、男性の美に特化することで顧客を増やしている。
この記事では今後も美容医療で注目される「男性をターゲットとした美容」の詳細をご紹介する。
女性の脱毛は一般的になったが、男性にとっても医療脱毛の敷居が低くなってきており、20〜30代の顧客が多く利用している。
女性はエステサロンでの脱毛を選択することも多いが、エステサロンは女性専用が多く、男性は医療脱毛や男性専門のクリニックを選択する傾向が強い。
芸能界や会社経営者など、特定の男性には以前から需要の高かった男性医療脱毛だが、最近はごく普通の男性にも「脱毛したい」人が増えてきた。
その背景にはヒゲやすね毛の無い・薄い男性が好きという女性の割合が多いこともあるが、最近の男性の脱毛の動機で多いのは、朝の身だしなみの「時短」、そして男性自身が「つるつる肌」志向に変わってきたことである。
成長分野であるメンズ・コスメ市場でも多くのキャッチコピーが「つるつる」「すべすべ」「しっとり」を表現しているが、それらを実現するためには「毛」があるよりは無い方がより良い肌触りを実現できるのだ。
昭和の昔から男性の「見た目」のコンプレックスの上位に上がるのは、毛髪の問題である。しかし、製薬会社が「抜け毛・薄毛は病院で治療できる」というCMを大々的に流した影響か、医療機関でのAGA治療の認知度が上がった。
薄毛の解決方法として、それまでの主流であった、かつら・増毛および育毛・発毛サービスから、医療機関での治療にシフトする割合が増えてきた。
それだけでなく、AGAを遺伝や加齢によるものと諦めていた男性が、医療機関で治療できることを知ったことにより、潜在患者が掘り起こされ、この市場のさらなる成長が期待されている。
薄毛を気にしている人の割合は4人から5人に1人という調査結果は業界で言われている数字だが、食事の欧米化に伴い、若い世代はそれ以上の割合で増える可能性があるという予測もされている。
女性ではもう常識になっているアンチエイジングを背景に、男性の加齢に伴う肌や髪、身体など細分化する悩みに対応した商品やサービスが相次ぎ開発されており、男性のアンチエイジング市場も拡大を続けている。
アンチエイジングは男女ともに、高齢化が進行する日本社会において長期的な市場拡大が期待される。
老後の経済問題と切り離せない、個人の経済的価値や社会との関わりを、60代はもちろん、70代から80代まで長年にわたって維持・向上させることが重要であると、多くの中高年が意識している。そのベースとなるのは、心身のアンチエイジングである。
見た目は心に影響することを、中高年の男性も気づき始めているようだ。男性向けの、シミ、しわ、たるみの治療の需要は年々、大きくなっている。
ある調査によると、20代から50代までの男性の7割が「引き締まった身体」に憧れている。
医療機関で痩身機器で痩せることに対して、男性の方が敷居が低い男性は「効果」「作用機序」に対して、女性よりも分析的に考える傾向が強いため、「気持ち良い」施術を行うエステサロンなどに流れることが少なく、効果が比較的速い医療痩身を選ぶ傾向にあると、医療痩身機器メーカーの担当者は言っている。
上場企業では、従業員に長く健康にその能力を発揮してもらうため、そして赤字傾向が懸念される健康保険組合の存続も関わることから、「健康経営」がトレンドとなっている。
「健康経営」では、従業員の禁煙や体重オーバーをシビアにチェックされるようになった。日本もとうとう、「自己管理」が仕事のパフォーマンスと密接な関係があると認識されるようになったのだ。
飲食を極端にコントロールすることなく、時間もかからない医療痩身は男性こそ、大きな市場性があると予測される。
キャリアと収入に影響を与えるのは学歴だけではないようだ。
意外なことに、男性の方が見た目と給料の相関関係が小さいという研究結果が、アメリカ、カナダ、オーストラリア、中国、韓国、イギリスから報告されている。
収入は、学歴、技術力、発想力、リーダーシップなどによって、より高い報酬を手にすることができる。
その要素のひとつに、「容姿・見た目」も含まれると発表したのは、アメリカのテキサス大学で労働経済を研究するハマーメッシュ教授だ。教授は7.500人を対象に容姿を5段階に分けた。
男性の場合、見た目の印象がいい「5」と「4」の人は、容姿が平均より劣る「2」「1」に比べて年収が17%高かった。一方、女性の場合は12%高かった。
顔、服装、髪形などの見た目がより良い=収入が高い、いわゆる「ビューティ・プレミアム」が男性の方が大きいという結果になった。
このように、男性の美容医療は成長市場になっている。
美容医療のほかにも、エネルギーや活力を求める、点滴療法やホルモン療法も以前、男性のあいだで人気のメニューである。
転職を検討中の医師、専門科を検討中の研修医の方々は、成長市場である男性の美容医療を検討してみてはいかがだろうか。