人生に困難や苦労はつきものです。一般的にエリートと言われている医師の方でも、ほとんどの方が様々な困難を経験して医師になり、医師になってからもまた経験します。
このコラムでは、医師になるまでを振り返りながら、今現在「医師に向いていないのかも」とお悩みの方へ、少しでもお役に立てる話ができればと思います。
医師を目指すうえで最初の大きな壁となるのが、医学部受験です。
日本の大学受験の中でも特に難易度が高く、長期間にわたる厳しい勉強と激しい競争を乗り越えなければなりません。
受験生たちは日々プレッシャーと向き合いながら、自分の限界に挑戦し続けています。
医学部受験では、極めて高い学力が求められます。
国公立大学医学部では共通テストで9割近い得点が必要とされることもあり、私立大学の医学部でも偏差値の高い水準が要求されます。
理系科目の生物・化学・物理はもちろん、数学・英語・国語といった全科目でバランスの取れた実力を維持しなければなりません。
多くの受験生は高校1年生の段階から受験勉強を始めます。
1日10時間以上勉強することも珍しくなく、予備校や個別指導を併用しながら長期間努力を重ねていきます。
現役での合格が難しい場合は浪人を選ぶ人も多く、2年、3年と挑戦を続ける受験生も少なくありません。
合格までの道のりは長く、まさに忍耐力と継続力が試される戦いといえるでしょう。
医学部受験は、限られた定員をめぐって優秀な受験生が競い合う、まさに“狭き門”です。
そのため合格倍率は非常に高く、常に緊張感とプレッシャーの中で勉強を続けることになります。
模試の結果に一喜一憂したり、周囲と自分を比較して落ち込んだりすることも少なくありません。
さらに、家族の期待や「絶対に医師になりたい」という強い思いが重なることで、精神的な負担が一層大きくなることもあります。
こうしたストレスが積み重なり、体調を崩したり、メンタル面で不調を感じたりする受験生もいるのが現実です。
医学部受験は学力だけでなく、精神的なタフさも求められる過酷な挑戦といえるでしょう。

医学部を卒業しても、すぐに医師として働けるわけではありません。
医師免許を得るためには、最終関門である医師国家試験に合格する必要があります。
この試験は非常に難易度が高く、膨大な範囲の学習と長期的な準備が必要です。
医師国家試験では、医学のあらゆる分野から広範な知識が問われます。
内科、外科、小児科、産婦人科、精神科といった主要診療科に加え、公衆衛生や医療倫理、医療法規など、社会的視点を含む内容まで出題範囲は多岐にわたります。
試験は2日間にわたり、試験問題は400問を超える長丁場です。
単なる暗記力ではなく、臨床症例をもとに正しい診断や治療方針を導き出す応用力も求められます。
6年間の学びを総復習し、知識を体系的に整理する必要があるため、膨大な勉強量と高い集中力が欠かせません。
合格するためには、長期間にわたる地道な努力が求められる試験といえるでしょう。
近年の医師国家試験では、筆記試験だけでなく、実技試験や臨床実習での評価も重視されています。
OSCE(客観的臨床能力試験)では、患者との面接や身体診察を行い、医師としての実践力が試されます。
実際の医療現場を再現したシミュレーション形式の試験であり、知識だけでなく、コミュニケーション能力や態度、臨床判断力といった総合的なスキルが評価されるのです。
こうした実技試験では、試験官や患者役を前にパフォーマンスを発揮しなければならず、強い緊張感やプレッシャーを感じる受験生がほとんどです。
筆記試験とは異なるタイプのストレスに直面するため、精神的な負担は非常に大きいといえるでしょう。
医師国家試験に合格して医師免許を取得したとしても、本当のスタートはここからです。
医療現場は高度な専門性と責任が求められる厳しい環境であり、医師は日々、さまざまな困難と向き合うことになります。

医療現場での人間関係がストレスの要因になっている医師も少なくないようです。
病院やクリニックでは、医師、看護師、薬剤師、検査技師、事務職員など多職種のスタッフが協力して業務を行いますが、立場や役割の違いから意見がぶつかることもあります。
大学病院などでは医局制度が残っており、年功序列の文化が根強い職場も多く存在します。
医局内の派閥や上下関係に悩むケースも少なくありません。
また、看護師や他の医療スタッフとの連携不足や伝達ミスで業務上の大きなトラブルに発展することもあるため、人間関係の調整力が求められるのです。

医師の勤務は不規則で、長時間労働になりやすいのが現実です。
特に病院勤務医の場合、当直や夜勤、緊急対応などで昼夜問わず働くことが求められます。
当直明けにそのまま外来診療を続けることもあり、24時間以上連続勤務するケースも珍しくありません。
また、緊急手術や救急対応によって予定していた休日がなくなることもあり、プライベートの時間を確保するのが難しいのが現状です。
医師という職業は、ワークライフバランスを保つのが非常に難しい職業といえるでしょう。

医療現場では、患者様やそのご家族からのクレームに対応する場面も多くあります。
治療結果への不満、説明不足への不信感、待ち時間の長さへの不満など、その内容はさまざまです。
そのため、医師が最善を尽くしても、結果が期待通りでない場合にはクレームや訴訟に発展するリスクがあります。
医療訴訟への対応は医師にとって大きな精神的負担であり、多くの時間とエネルギーを消耗します。
安全で質の高い医療を提供し続けるためには、医療技術だけでなく、誠実な説明や信頼関係の構築が不可欠なのです。

医師の仕事で最も重い責任は、患者様の命を預かることです。
診断や治療の一つひとつの判断が患者様の生死に関わる可能性があり、そのプレッシャーは計り知れません。
特に救急医療の現場では、限られた時間と情報の中で迅速かつ的確な決断を下す必要があります。
誤った判断が重大な結果を招くこともあり、常に高い緊張感の中で業務を行わなければなりません。
また、どれだけ尽力しても患者様を救えないこともあり、その際に深い悲しみや無力感を抱く医師も少なくありません。
こうした過酷な状況が続くと、精神的に消耗し、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ることがあります。
命と真剣に向き合う医師の仕事は、まさに覚悟と強い精神力が求められる職業といえるでしょう。

医師が転職を考える最大の理由は「忙し過ぎる」という労働環境の厳しさです。
過酷な勤務状況は、医師の体力やメンタルを消耗させるだけでなく、結果的に医療の質にも影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、医師の労働環境が過酷になってしまう要因について見ていきましょう。
医師の労働時間は、他の職種と比べても非常に長いことで知られています。
特に病院勤務医の場合、週に60時間を超える勤務は珍しくなく、中には週80時間以上働くケースもあります。
また、勤務する医療機関や診療科によっては当直勤務が医師の負担をさらに重くする要因となっています。
業務量が多く勤務時間が長い当直では、休憩や仮眠を取ることが難しく、慢性的な疲労が蓄積してしまいます。
さらに、当直明けにそのまま通常勤務に入るケースも多く、30時間以上連続で働くこともあるのです。
最近は、こうした過酷な勤務環境を避け、ワークライフバランスを重視した働き方が実現しやすい美容外科や美容皮膚科への転職を選ぶ医師が増えています。
医師の仕事は診療だけではありません。
カルテの記録、診断書や紹介状の作成、学会発表の準備、研究活動、委員会への参加、後輩指導など、多岐にわたる業務を同時にこなさなければなりません。
特に、書類業務やカルテ入力には時間がかかるため、診療時間外に行わざるを得ないこともあります。
大学病院の場合、臨床に加えて研究や教育も求められるため、業務量はさらに増加します。
診療以外のタスクが膨大であることは、医師が心身の疲弊を感じる要因の一つとなっています。
日本は超高齢社会を迎え、医療の需要が年々増加しています。
高齢者は複数の慢性疾患を抱えていることが多く、受診回数も多いため、医師一人あたりの診療負担が増大しています。
外来では1日に数十人、多いときは100人近い患者様を診察することもあり、1人ひとりに十分な時間を割けないケースもあります。
多くの医師が、丁寧な診療を行いたいという思いと、現実の時間的制約とのギャップに苦しんでいるのが現実です。
医療現場では、医師やスタッフの慢性的な人手不足が深刻化しています。
特に地方の医療機関や特定の診療科では、医師の確保が難しく、限られた人員で大量の患者対応を行わなければなりません。
人員が足りない中で誰かが退職すると、その分の負担が残った医師にのしかかり、さらに過重労働を招くという悪循環に陥ることもあります。
こうした状況から脱するため、より人員体制の整った美容医療分野へ転職する医師も増えています。
医師の多忙さは、単に業務量が多いだけでなく、精神的なストレスの大きさにも表れます。
日々、命に関わる判断を求められる中で、患者様やそのご家族との関係にも気を配り、医療ミスを防ぐために常に緊張感を持って働かなければなりません。
このような状況が長く続くと、バーンアウト(燃え尽き症候群)やうつ状態に陥るリスクが高まります。
そのため、精神的に余裕を持って働ける環境を求めて転職を検討する医師が増えているのです。
美容医療業界は、生命に直結する急変対応が少なく、患者様との関係も比較的穏やかで、精神的なプレッシャーが軽い職場としても注目されています。

医師という職業には多くの苦労や責任が伴いますが、その分大きなやりがいも存在します。
思うようにいかないことが続いたり、困難な状況に直面したりしたときこそ、自分がなぜ医師を志したのか、どんな瞬間に喜びを感じるのかを改めて振り返ることが大切です。
医師として最大のやりがいは、患者様の回復を見届ける瞬間にあります。
重い病状だった患者様が治療によって回復し、笑顔で退院していく姿は、医師にとって何よりの励みとなります。
また、患者様やご家族からの「先生のおかげで助かりました」「本当にありがとうございました」といった言葉は、医師の心に深く響きます。
このような感謝の言葉は、次の診療への活力を与えてくれることでしょう。
医師は、日々の診療を通して常に学び、成長し続けています。
新しい医療知識や技術を習得し、経験を積み重ねることで、より質の高い医療の提供ができるようになるのです。
医師になりたての頃と今を比べてみると、診察や処置への不安が少なくなり、より冷静に、確信を持って対応できるようになっているはずです。
このような自分自身の成長を実感することで、医師としての自信と誇りが自然と高まります。
やりがいを再確認するためには、同僚や先輩医師との交流も効果的です。
自分以外の医師がどのような瞬間にやりがいを感じているのかを知ることで、自分の価値観を見つめ直すきっかけにもなります。
特に医局や学会、勉強会などの場では、先輩医師の経験談を聞いて刺激を受けるチャンスです。
また、同期や同僚と日々の苦労や喜びを共有することも大切です。
このように互いに支え合いながら、前向きな気持ちを取り戻してください。

医師として働いていると、精神的にも肉体的にも負担を感じてしまうことかあると思います。
そのようなときは、一人で抱え込まず、信頼できる相手に相談することがとても大切です。
周囲のサポートを得ることで、問題解決やストレスの軽減につなげてください。
医師にとって、最も身近な相談相手は家族や友人です。
日々の悩みや不安を話すだけでも、心が軽くなることがあります。
ただし、医療に関わる専門的な内容や患者様の個人情報については、守秘義務を守る必要があります。
また、医療関係者以外の友人と過ごす時間もリフレッシュには効果的です。
たまには仕事から少し離れて、趣味や日常の話を楽しむことで、意識的に気持ちを切り替えるようにしましょう。
医療現場での具体的な悩みや専門的な課題は、同僚や先輩医師に相談するのが適しています。
同じ環境で働いていれば、状況が理解できるので、現実的な助言をしてくれるはずです。
診療の判断に迷ったときや難しい症例に直面したときには、経験豊富な先輩医師に相談することで、解決の糸口が見つかるでしょう。
精神的な疲労やストレスが深刻な場合は、専門家によるメンタルサポートを利用するのもおすすめです。
多くの病院や医療機関では、職員向けにメンタルヘルス相談窓口を設けています。
産業医や臨床心理士などの専門家に相談することで、客観的な視点からの助言を受けられます。
特に、バーンアウトやうつの兆候があるときは、早めに専門家の支援を受けることが大切です。
職場環境や人間関係の問題が深刻で、改善が難しい場合は、転職という選択肢もあります。
医師専門の転職エージェントは、キャリアや働き方に関する相談に応じ、最適な職場を提案してくれます。
エージェントは医療業界の最新動向や、各医療機関の労働環境、待遇などについて詳しい情報を持っています。
あなたの希望条件や将来のキャリアビジョンをもとに、最適な職場や働き方を紹介してくれるでしょう。
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ここからは、医師が直面しやすい困難や悩みについて、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
忙しい日々を乗り越えるためには、まず時間の使い方を見直すことが大切です。
業務の優先順位を明確にし、効率的に進める工夫をしてみてください。
また、十分な睡眠と休息を取ることも欠かせません。
医療現場は、医師だけでなく看護師、薬剤師、検査技師など多職種が連携して働く場です。
それぞれが異なる専門性や立場を持っているため、価値観の違いから人間関係の摩擦が生じることがあります。
特に大学病院など医局制度が残る職場では、年功序列や上下関係が厳しく、若手医師が気を使う場面も少なくありません。
また、医療現場は常に緊張感があり、責任も重いため、ストレスによる感情的な衝突が起こりやすいという側面もあります。
精神的な負担を軽くするには、まず自分が何にストレスを感じているのかを明確にすることが大切です。
そのうえで、運動や趣味、旅行、友人との会話など、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけましょう。
信頼できる人に相談することも心の整理につながります。
もしストレスが深刻な場合は、臨床心理士や産業医などメンタルヘルスの専門家に相談するのもおすすめです。
専門分野の選択は、今後のキャリアを大きく左右する重要な決断です。
研修中に経験した診療科の中で「最もやりがいを感じた」「自分に合っている」と思えた分野を振り返ることが大切です。
また、先輩医師に相談し、各診療科の実情やキャリアパスを具体的に聞いてみるのも有効です。
一方で、最初に選んだ専門分野に必ずしも縛られる必要はありません。
最近では、一般診療から美容外科・美容皮膚科にキャリアチェンジする医師も増えています。
医師という職業は社会的に尊敬される一方で、さまざまな苦労や課題を伴います。
今「忙しすぎる」と感じている医師の方は、家族や友人、同僚、先輩医師、メンタルサポート窓口など、信頼できる相談相手を持ちましょう。
あるいは、医師専門の転職エージェントに相談するのもおすすめです。
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