近年、若手の医師がキャリアプランを考える際に「美容」という科目が一つの選択肢として認識されるようになってきました。実際に、以前はドクターコネクトを利用された先生の中には、「周りに美容に転科した医師がいないので、実務がよく分からない」という方が多かったのですが、今は「某美容クリニックに知り合いがいる」という先生が増えました。
厚生労働省の調べによると、美容外科医は医師総数の0.1%です。ところがその2年前の同調査からの増減率は15.2%増となっており、他の科目に比べ短期間で増員しています。しかし、いずれは横ばいになり、求人募集枠も減少することが予測されます。
出典:厚生労働省「診療科名別にみた医師数」平成16~18年
これから美容への転職・転科をお考えの先生からすると、年々狭まる募集枠から希望に合った条件の求人を見つけ、そして内定を勝ち取ることは以前より難しくなったように思えてきます。
しかし、現在求人を出していない美容クリニックからは「充足はしているが良い先生がいたら紹介してほしい」との依頼を通年お受けしております。任せられる医師を増員できれば分院をオープンさせたいなど、様々な経営面での事情があります。この場合、ドクターコネクトでは非公開の医師求人情報として扱います。
その雇用側が求める「良い先生」は医療業界においては自由診療特有のものであり、それが何かを把握しておくことで転職の成功率がぐっと上がります。ぜひ、面接時はこの事を踏まえて挑んでいただければと思います。
美容医療は大半が簡易なオペですので、未経験の医師でも研修を経て実践することは十分可能です。しかし、簡易というのは短時間で終わるという意味であり、顔への施術が多いため最悪、壊死や失明などのリスクもあります。内臓のように自力で再生せず、しかも目に見える部分ですので、しっかりとした美容医療の知見と繊細な施術が必要です。
病気を治す保険診療と大きく異なるのは、美容クリニックの患者様の要望は人それぞれ、症例=要望なのです。そして要望=表現であり、伝え方・伝わり方も人それぞれです。患者様は女性が多く、男性に比べ表現力豊かですが、豊か過ぎて医師を混乱させることもあります。その要望を汲み取り、施術に落とし込む裁量が求められます。美容医療の難しさはここにあると言えるでしょう。
これらを踏まえ、それでも美容に挑戦する気概があるのか、美容ならではの難関をクリアできるのかを採用担当者はチェックしています。まずは先生ご自身がカウンセリングの難易度が高い美容に向いているか、つまりできるか・できないか、そしてやりたいか・やりたくないかで考えてみてはいかがでしょうか。これらを把握したうえで転科を検討したことが採用担当者に伝わるだけで、印象が大変良くなります。
いきなり常勤で転科する不安が大きいのであれば、未経験でも勤務可能な医療脱毛の問診、難しい手技の無いAGAでアルバイトをしてみるのもおすすめです。どちらも美容皮膚科に属するものですが、自由診療の雰囲気や患者層などを知るには十分な環境ですし、業務量に対して給与が高めです。
非常勤(アルバイト)は曜日が決まっていたり、週1日~、月4日などの求人が多いのですが、単発のスポットでしたら不定休の先生におすすめです。スポットの医師求人は不定期に募集があり、また充足も早いためwebサイトで公開されないこともあります。予め転職エージェントに要望を伝えておき、募集開始された際に連絡をもらうようにしておくとスムーズです。
保険診療の医療機関は営利目的で診療を行っていませんが、自由診療は一般企業と同様、営利が前提です。
企業に対する己の貢献度を、一般のサラリーマンは常に意識するよう求められており、世の中から見れば自由診療が特別というわけではありません。保険診療の営利を前提としない環境に、医学生からエスカレーター式に医局に身を置くことになる医師が、採用面接に不慣れと言われる所以はここにあるようです。
美容クリニックの採用基準も一般企業と根底は同じですので、以下の3つのポイントを採用担当者はチェックしています。
では、ひとつずつご説明していきます。
自由診療は経営とマーケティングを中心に成り立っていますが、それを理念という形で従事者に共有します。その理念はクリニックによって多様ですので、面接前には必ず把握しておきます。その理念に沿えないと思えば、他のクリニックを検討した方がよいでしょう。
採用担当者は、理念を理解しようとする姿勢を好評価します。本当の意味での理解は入職後になりますが、その姿勢があるだけで採用側に与える印象が好転します。また、クリニックのWEBサイトも見ておくことをおすすめします。
しかし、WEBサイトは誰でも閲覧できる、つまり患者様や競合クリニックでも閲覧できるので、あくまで表向きです。クリニック毎の理念や特色、採用担当者や採用基準を詳しくお知りになりたいのであれば、それらを熟知している転職エージェントを活用するメリットは多くあります。第三者の客観的な意見を聞くのも、メリットのひとつです。
先々クリニックの利益に貢献してくれるかが、選考基準のひとつです。これは採用側としては最も難しい判断です。経験者であれば即戦力になりますが、活躍するかどうかは経験の有無だけで判断できません。
美容医療の医師年収は2,000万円前後で、さらにインセンティブ制度を設けているところが多く、売上に貢献した分のバックがあります。裏を返せば、初任給で満足しないでほしい、それでは経営が伸び悩んでしまうということです。
しかし売上をアップさせたいからといって必要のない施術を無理に患者様に勧めるのは厳禁であると、美容クリニックは注意喚起しています。
活躍とは、売上に貢献することだけが全てではなく、後輩医師の教育、管理医師など、活躍の場はいくつかあります。そして、その中のどこかで活躍することを期待されます。活躍の場は医師それぞれですので、ご自身が得意なことを更に努力して伸ばしていくつもりであることを伝えればよいのです。
そして、1章 転職は「やりたいか、やりたくないか」でお伝えした通り、「やりたい」という意思をしっかり伝えることが大切です。それが本気なのか、建前なのか、採用担当者も人事のプロですので見抜きます。
転職エージェントはマッチングを重要視していますが、先生が雇用側の期待に応えられるか、先生にとってその期待が重圧でストレスにならないか、という双方からの視点で判断しています。美容も医療行為ですので、それなりの大変さがあります。本当にこの業界でやっていけるのか、エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
美容クリニックは未経験の医師のために研修体制を整え、研修後も定期的に勉強会を開いたりしますが、これは先行投資でもあります。そのため、せっかく戦力になった医師に退職されてしまうのは避けたいところです。医師の離職率を下げるため、様々な改善に取り組み、医師やスタッフの労働環境を整えています。
施術数を重ねるうちに技量もアップしていきますし、比例して顧客もついていきます。勤続年数が長くなれば院長を任せられたり、雇用側としては重宝する人材になっていきます。
定着については、先生にとって働きやすい職場を選ぶことができればクリアできます。ご自身が譲れない条件、要望は明確にし、それを許容してくれるクリニックを選ぶことです。この条件交渉、要望はしっかり伝えなくてはいけませんが、なかなかデリケートな部分であったりもしますので、採用担当者との間にエージェントに入ってもらう方がスムーズです。
転職エージェントは常に各クリニックから様々な情報を得ており、新規分院のオープン予定など、経営に関わることも事前に把握しています。これから何を展開していこうとしているのか、面接前に知っておくと必ずプラスになりますし、採用側のニーズに合わせる精神的な余裕ができます。
これまでご紹介した内容を把握し、情報を得てから面接に挑むことは、採用側からすると「自分たちを理解してから来てくれた」という非常に良い印象を持ってもらえます。実践は難しいことではありませんが、正しい情報を得るには転職エージェントの活用が早道です。
ドクターコネクトにも、人材紹介会社としての企業理念がございます。一人一人の先生に丁寧に・しっかり時間を使う、そして入職後も先生を大事にするクリニックのご紹介を第一に考えております。転職をご検討の際は、是非お気軽にご相談ください。