聖心美容クリニック 鎌倉統括院長

日本人の美容外科医として初のベスト・ペーパー・アワードを受賞

外国人医師にとって「狭き門」と言われるアメリカ形成外科学誌「PRS」のベスト・ペーパー・アワードを、聖心美容クリニック(鎌倉達郎先生ほか)がプレミアムPRP皮膚再生療法についての論文で受賞した。日本人の美容外科医として初の受賞だった。

2017年からは横浜市立大学の臨床教授として後進の育成にも携わり、また、日本美容外科学会など多くの学会でも精力的に活動を続けながら、美容外科医として、日々手術を行う鎌倉達郎先生に、美容外科医として成長するために必要な資質、再生医療の今後についてご意見を伺った。

アメリカ形成外科学誌「PRS」のベスト・ペーパー・アワード、聖心美容クリニック(鎌倉先生/他)がプレミアムPRP皮膚再生療法についての論文で受賞

──日本美容外科学会を始め、日本美容皮膚科学会や日本再生医療学会、IMCASなど学会でのご活躍は多くの先生がご存知のところですが、2017年からは大学で教鞭も取られているとのこと、クリニックでも統括院長として精力的に手術をなさっていると伺いました。

鎌倉先生
一日に3〜4件は、手術をしています。注入などの非侵襲的な施術も増えていますが、美容外科のニーズは変わらず堅調です。

外科医のキャリアを重ねたある時点で、自問するポイントが来る

──以前お目にかかった時に比べて、全体的にシャープな印象になられたように拝見します。

鎌倉先生
夜の炭水化物を減らして、朝晩、時間を見つけてトレーニングをするようになりました。そのせいか、身体が絞れてきたのかもしれません。

外科医はもともと体力がある人が多いのですが、キャリアを重ねたある時点で、「このまま走っても良いのか」と自問するポイントが来るように思います。

外科医だけの話ではありませんが、自分の身体を管理することは、医師として良い仕事をするために大事なことです。

手術の見学は美容医療でのキャリアを考えている医師のモチベーションをいっきに上げる

──手術を見たいと希望する医師に対して、広く受け入れられていらっしゃるのは何故ですか。

鎌倉先生
美容医療に挑戦したいというドクター、美容外科系を学びたいというドクター、どちらも見学に来ますが、手術の見学は美容医療でのキャリアを考えている医師のモチベーションをいっきに上げるようです。レーザーや注入というような施術とは違う、外科手術のダイナミズムが良い刺激になるのだと思います。

私自身も、研修医の時に脂肪吸引の手術を見学したことが美容医療の世界に入るきっかけでした。

──手術を見せるということは、技術を公開するということになりますね。

鎌倉先生
今は昔のように「技術はクローズな空間で学ぶ」時代ではないと思います。良い技術はオープンにして、どんどん勉強して身につけてほしい。もちろん、始めはすぐに真似ができるというものではありませんが、良い技術を実際に見ることは大切です。

良い技術を共有していくことは、聖心美容クリニックだけの問題ではなく、美容医療業界全体のレベルアップにつながることです。

──聖心美容クリニックは、新しい技術、薬剤、機器を積極的に取り入れていらっしゃいますが、それらを導入する際の判断基準はどのようなものですか。

鎌倉先生
まず1つは医学的に見た「効果」と「安全性」、そして2番目には「市場」、つまり患者様がそれを求めているかどうか、が基準となります。

医学的な見地についてですが、美容医療の進歩のスピードは非常に速い。5年前にブームだったものが、今は廃れているということも多くあります。新しいものがどんどん入ってくるので、常にアンテナを張っておかなければならない状況です。

しかし、多くは海外で作られた製品なので、メーカーさんの推奨を鵜呑みにするのではなく、日本人に合うのか、海外と同じような結果が出せるのかを検証して取捨選択しています。

「患者様のニーズ」に応えていくため

──検証をなさった上で導入を見送るものはどのくらいあるのですか。また、検証するにはそれなりのリソースが必要となると思いますが、何故、取り組みを続けるのですか。

鎌倉先生
機器、薬剤、化粧品、いろいろとありますが、検討したものの半分以上は見送っています。

美容医療というものは、今の施術ラインアップで充分、ということはないのです。まだ解決できていない問題もあります。そのため、次の切り口、違うアプローチを試す、あるいはそれらを組み合わせた結果はどうなのかということを常に考えていかなければならないのです。

と言うのは、老化のメカニズムが単純ではないからです。老化による現象は複数の要素が混在しているので、それに対応するには1つの方法だけでなく、組み合わせも検討して結果を出していくということも検討するべきなのです。

美容医療は患者様からの評価が厳しくなってきています。以前は「医師にお任せ」という患者様もいらっしゃったのですが、今はそのような時代ではなくなりました。「患者様からの合格」をいただくために、「患者様のニーズ」に応えていくために、いろいろと考えなければならないのです。

──海外のデータやメーカーの推奨内容を聖心美容クリニックで検証し、市場、つまり患者様からの「合格」をいただくよう取捨選択するということですね?

鎌倉先生
そうです。しかし、ひとくちに市場と言っても、美容医療に関しては、比較的多くの人が求めているものもあれば、ある意味、ニッチなリクエストもあったりする点が、難しいところです。

例えば、シミに効果が期待できる機械はたくさんあります。一方、赤ら顔などの赤い色素を消す機械は、シミに比べれば圧倒的に少ないです。実は、赤みは最近の研究によると「老化による炎症」である可能性も考えられるということが分かりました。炎症は赤みを伴うことが多いのです。

患者様は気づいていない「潜在的な赤み」の存在を考えると治療の幅が広がります。今あるものだけ、今見えているものだけ、を考えていると治療の幅が狭くなっていきます。

再生医療はグローバルな大きなトレンドに合っている

──聖心美容クリニックは再生医療に関しても、かなり早い時期から手掛けていらっしゃいました。今はどのような状況ですか。今後はどのような展開を予測していらっしゃいますか。

聖心美容クリニック 鎌倉統括院長に訊く「美容外科における再生医療とその市場」鎌倉先生
やっと浸透してきたという思いです。私たちが美容医療としての再生医療を始めたころは、まだ関連法も出来ていませんでした。

再生医療はこれから普及していくと考えています。何故なら、化学的なものよりも自然由来を選択するというグローバルな大きなトレンドに合っているからです。ご自分の幹細胞を使ってオーダーメイドした化粧品が作れる時代になってきました。

とは言え、今のところは決して安い治療ではないので、普及のスピードは速くはないでしょう。しかし、どんな技術でも最初は高いのですが、新しいものに敏感な「アーリー・アダプター」が積極的に試し、その後に普及して行けば市場が拡大する、というマーケティング理論が当てはまるだろうと考えています。

──再生医療は顔や肌だけでなく、ボディ・コントアリングにも需要が大きいと伺いました。

鎌倉先生
豊胸手術や再建手術にも多くニーズがあります。もともと、当院はそこから出発しています。採取したものを、そのまま患者様に戻す方法と、採取した後に増やして戻す方法、どちらにも需要があります。どちらを選択するかは、ケース・バイ・ケースですが、増やす方法は治療回数を増やせるので、繰り返しの治療が可能になります。

──豊胸で再生医療を選ばれる方は多いのですか。

鎌倉先生
豊胸に使われてきた充塡剤に合併症が多く報告されているため、結果的に自己由来が増えてきているのだと思います。実際、豊胸での再生医療のニーズは増えてきています。

今後は、豊胸もヒト由来のものが増えてくるだろうと考えています。しかし、コントアリングという意味では限界はあるので、リスクの少ないインプラントも開発されていくでしょう。

──ボディ・コントアリングでは痩身もありますが、外科手術のニーズはいかがですか。

鎌倉先生
こちらも堅調にニーズはあります。何故なら、現在の痩身機器に限界があるからです。以前に比べて効果が望める機器も出てきましたが、脂肪が相当量ついている方には痩身機器では物足りないと感じられるようです。

また、海外の痩身機器は脂肪が全体的についている人がターゲットですが、日本人は欧米に比べると比較的痩せ気味で、それでもなお、部分的に脂肪を取りたい、というニーズが多いのです。

そのような場合では、外科手術の方が効果を出せることがあります。脂肪の量をダイレクトに減らすということにおいて、脂肪吸引に勝るものはありません。

成長できるドクターが持つものとは

──聖心に入職した医師はどのようなトレーニング期間を過ごされるのですか。

鎌倉先生
基本的に6ヶ月間の試用期間があります。このあいだにカウンセリング、患者様との向き合い方、簡単な施術を少しずつ学んでもらいます。この6ヶ月間は、美容外科医としてやっていけるかどうかを、お互いに見ていく期間でもあります。

試用期間で、外科的ではない美容医療は大体出来るようになります。それができないと合格になりません。試用期間の後は、手術の段階に入って行きます。学習スピードが早いドクターは、その後、どんどん習得していきます。

修正の感覚やセンスを持っているドクターか否かが問われる

──学習スピードが速い医師は、入職前のご経験の違いですか。ご本人の資質によるものですか。

鎌倉先生
その両方だと思います。美容外科に入るには形成外科のキャリアがあった方が良いと言われますが、正直に言えば、経験は無いよりはあった方が良いです。専門医になるまでは、少なくとも多くの症例をこなす必要がありますので、例えば眼瞼などの組織を扱うことに慣れているからです。手術というものに慣れているという意味では、一般の外科でも経験はあった方が良いでしょう。

ただ、そこからの成長は、そのドクターの持つセンスで大きく変わります。同じ症例でもセンスの差が大きく、2回、3回と経験を重ねると、その差はもっと大きくなっていきます。

手術というものは、マニュアル通りに行っても同じ結果が出るものではありません。ある意味、微妙な「さじ加減」が必要とされます。1回目の手術で経験したことを活かして、2回目、3回目で微妙に修正できるかどうか、そういう感覚やセンスを持っているドクターか否か、が問われるところです。

最初は誰でも上手くいかないのが当たり前。しかし、その後は、修正能力に長けたドクターの成長が速いのです。

──医師の報酬についてのお考えをお聞きしたいです。

鎌倉先生
報酬に見合う外科医としての心構えであるとか、常に真面目に取り組む意欲、それらが揃ってきたら、当然に年収は上がっていくものだと考えています。医師の心構えや意欲が無ければ美容医療という業界が健全に成長していきません。

ドクターには、やりたいことにチャレンジして輝いて欲しい

──美容医療でのキャリアの積み方をお考えの医師に、鎌倉先生からご提言を戴けますか。

聖心美容クリニック 鎌倉統括院長に訊く「美容外科における再生医療とその市場」鎌倉先生
このまま医師の仕事を続けて、5年後、10年後に居る場所は何処か考えてください。組織に所属しているか、それとも開業しているか、ということになるでしょう。

聖心美容クリニックで5年以上経ったドクターの離職率は低いです。何故辞める方が少ないかと言うと、ここはドクターのやりたいことを可能な限り、やらせてもらえる場所だからだと思います。

新しい情報を提案してくれるドクターには、検証した結果をフィードバックしてもらいます。結果が良ければ導入されることもあります。ドクターには、やりたいことにチャレンジして輝いて欲しいと思うのです。組織の中に居ても、ご自分のやりたいことができる環境であるか、は大事なことです。

もちろん、開業なさるドクターも、やりたいことがあって組織という縛りから離れ、もっと多くの収入を望んで、その道を選ばれたのだと思います。違うのは、リスクという点です。組織でやりたいことをやる場合には、リスクを軽減できます。開業したら、全部自分で背負わなければならなくなります。それは、医療的なリスクだけでなく、経営的なリスクも。

ドクターの頭の中にあるリスク・マネジメントですが、開業前は「医療的なリスク」がほとんどだったのに、おそらく開業後は3分の2は「経営的なリスク」、残りが「医療的なリスク」になるのではないか、と想像します。

美容医療での専門医の必要性

──美容医療に転職するには、専門医を取ってからの方が良いでしょうか。

鎌倉先生
必要かどうかというと、それほど大きな差はないと思います。しかし、専門医を取ったドクターには医局の絡みがあるので、必ず円満に退職するようにアドバイスをしています。

私は外科の研修医2年目くらいで美容を目指そうと思いました。辞職を相談するために教授と面談をしたら「まだ早い、もうちょっと外科を学んでから考えなさい」と言われ、それからさらに4年勤めました。6年目、教授との面談で「やっぱり美容をやりたい」と言ったら、「そうか。大丈夫か、しっかりしたところか」と、私の将来を心配しながらも送り出してくれました。

私が美容の世界に入ってしばらく経ったある日、大学を退官して市中の病院の院長になったその教授から電話がかかってきました。
「実は、セリューションという医療機器で乳房再建するんだけれど手伝ってもらえないか」という依頼だったのです。是非、とお返事し、その後しばらく東京から福岡に通って症例を重ねました。

それが、聖心美容クリニックに「セリューション」(脂肪組織由来幹細胞移植による豊胸手術)が入るきっかけになったのです。

インタビュー後記

外科医のセンスというものは持って生まれたものだけではない

組織の力を使ってやりたいことにチャレンジできる環境がある、そんな聖心美容クリニックは、モチベーションの高い医師にとって、大きく成長できる場所となるだろう。後輩医師を「輝かせたい」とおっしゃる鎌倉先生も輝いている。

外科医が成長していくには、感性やセンスが必要だった。しかし、外科医のセンスというものは持って生まれたものだけではないだろう。どのような分野でもそうだが、センスのある人というのは専門分野の基本や原理原則を大事にしていることを、鎌倉先生のお話を伺って感じた。

恩師とのエピソードには、心温まるものがあった。このエピソードから、鎌倉先生がこれから美容医療に挑戦するドクターに伝えたいことが垣間見える。それは美容医療においてドクターは病気ではなく「人」と向き合う、ということだ。

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